労働基準法違反行為 タイムカード提出拒み送検 長時間労働隠蔽図る――松阪労基署

 三重・松阪労働基準監督署(古市泰久署長)は、違法な時間外労働の実態を隠すため、臨検の際に虚偽の陳述をし、営業部長である労働者1人のタイムカードを提出しなかったとして、コンクリート製品の製造・販売業の㈱大台(三重県多気郡)と同社代表取締役および取締役の計1社2人を、労働基準法第101条(労働基準監督官の権限)違反の疑いで津地検松阪支部に書類送検した。管理監督者であるためタイムカードを使用していないと主張していたが、実際はタイムカードでの時間管理を行っており、同労基署は管理監督者性を否定している。
 同労基署は今年6月9日、同社に関して長時間労働の情報が寄せられていたことから、抜き打ちの定期監督を行った。代表者が不在だったため、1週間後の臨検までに必要書類を用意するよう求めた。
 6月16日の臨検では、同社代表取締役と取締役は長時間労働を隠蔽するため、共謀のうえ営業部長のタイムカードのみ提出しなかった。「管理監督者であるため労働時間を把握していない」と主張したが、賃金台帳には休日労働時間分の支払いが記載されており、労働時間の管理を行っていることが判明している。
 同社は製造部門を中心に約30人を雇用しており、営業部には計3人が所属していた。すべての従業員のなかで営業部長のみ長時間労働が続いており、約半年間にわたってほぼ毎月100時間を超えて時間外労働を行っていた。最長の月では160時間に上っている。
 労基法第41条では、管理監督者について労働時間、休憩、休日の規定を適用しないとしているが、深夜の規定については管理監督者にも適用される。同社は営業部長に対して休日割増賃金は支払っていたが、時間外・深夜割増分は役職手当に含まれているとして支払っていなかった。
 同労基署は、営業部長を管理監督者として認めていない。「長時間労働を行わせていたことよりも、臨検の際に隠していた事実を重くみて労基法第101条(労働基準監督官の権限)を適用し書類送検した」としている。