働き方改革 最低賃金引上げ見送りか

2020年7月22日に、中央最低賃金審議会は厚生労働大臣に対して、令和2年度地域別最低賃金額改定の目安についての答申を行いました。結論としては、新型コロナウイルス感染症拡大による現下の経済・雇用・労働者の生活への影響、中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況、今後の感染症の動向の不透明さ、こうした中でも雇用の維持が最優先であること等を踏まえ、引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当との結論を下すに至っています。

働き方改革 労働時間管理

▼就業規則は修正必要? 日曜勤務で割賃規定 実態は土日両方出社なら

Q:現在、X社は総務部内で就業規則全般の見直し作業を行っています。そのなかで、現行の業務処理方法が就業規則の規定に合致しているのか、疑問な点も散見されます。たとえば、「3割5分増しの割増賃金を支払う休日は、日曜日とする」とありますが、X社では、日・土曜の両方に出勤した場合に限り、35%の割増率を適用しています。実態に合う形で、修正すべきなのでしょうか。

A:現実に即したルールへ
 労基法は原則週1回の休日付与を義務付け、この「法定休日」に出勤させた場合、3割5分増しの割増賃金支払いを求めています。それ以外の休日(法定外休日)に労働させ、1日8時間・週40時間の法定枠を超えると、その分は時間外労働になります。
 ただし、法の基準を上回る形で、「日曜に労働したときは、3割5分増しの割増賃金を支払う」と規定する会社も少なくありません。週休2日制(土・日休み)で土曜休日(または祝祭日)が確保されている場合も、日曜出勤には自動的に35%の割増率が適用されます。
 一方、週1日の休日を付与できず、「3割5分増しの割増賃金を支払う」必要が生じた際には、日曜を法定休日として取り扱うルールとなっています。
 法律の規定どおり、法定休日35%増し、法定外(時間外に該当する場合)25%増しと定める場合、特段の定めがなければ、後順の休日に出勤した分が法定休日労働として処理されます。週の起算日が日曜の会社では、土曜に35%の割増が付きます。
 しかし、解釈例規では「就業規則その他これに準ずるものにより3割5分増し以上の割増賃金率の対象となる休日が明確になっていることが望ましい」とされています(平6・1・4基発1号等)。
 X社の規定は、そうした指摘等も踏まえつつ、割増賃金の処理方法をルール化したものでしょう。たとえば、日曜に8時間、土曜に4時間だけ働く週があったとします。「特定のない」会社では、後順の土曜の4時間分だけが35%増しの対象となります。これに対し、X社では日曜の8時間に35%の割増が付くという解釈になります。ルールどおり処理されているか「実態」を確認したうえで、就業規則修正の要否を検討してください。

近時の法改正 

最近の国会で成立した法改正の施行日を時系列で並べると、次のとおりです。

2020年4月1日:賃金債権等の消滅時効等の延長

2020年9月1日:副業者のための労災保険法の改正(複数業務要因災害の新設など)

2021年4月1日:高年齢者就業確保措置の努力義務化
2021年4月1日:中途採用比率の公表義務化

2022年1月1日:65歳以上の雇用保険加入要件の特例

2022年4月1日:60歳以上65歳未満の在職老齢年金制度の支給停止基準額の引き上げ
➡47万円

2022年春ごろまで:改正個人情報保護法の施行

2022年6月ごろまで:改正公益通報者保護法の施行

2022年10月1日:短時間労働者の社会保険の適用要件の拡大:企業規模100人超へ
2022年10月1日:一定規模の社労士等の個人事業所が、社会保険の適用業種に追加

2024年10月1日:短時間労働者の社会保険の適用要件の拡大:企業規模50人超へ

2025年度:高年齢雇用継続給付の縮小

標準報酬月額の特例改定

「標準報酬月額の特例改定についての詳細説明」
健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届(特例改定用)
厚生年金保険 70 歳以上被用者月額変更届(特例改定用)
【手続概要】
この届出は、新型コロナウイルス感染症の影響により休業した方で、休業によ
り報酬が著しく下がった方について、一定の要件を満たした場合に、健康保険・
厚生年金保険料の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、
特例により急減となった月の翌月から改定が可能(以下「標準報酬月額の特例改
定」という。)となり、以下の要件を満たした場合に事業主が届出を行います。
【標準報酬月額の特例改定の要件】
以下の1~3すべての要件を満たした場合、報酬が急減となった月の翌月の
標準報酬月額から改定されます。
1 新型コロナウイルス感染症の影響により休業(時間単位を含む)があったこ
とにより、令和2年4月から7月までの間に、報酬が著しく低下した月が生じ
た方
※ 休業とは、労働者が事業所において、労働契約、就業規則、労働協約等で
定められた所定労働日に労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、当
該所定労働日の全1日にわたり労働することができない状態又は当該所定
労働日の労働時間内において1時間以上労働することができない状態をい
います。
2 著しく報酬が低下した月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、これまで
の標準報酬月額に比べて、2等級以上下がった方
※ 固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合も対象となります。
※ 2等級以上下がった方には、以下の場合を含みます。
・健康保険第 50 級又は厚生年金保険第 31 級の標準報酬月額にある方の報
酬月額(健康保険にあっては報酬月額が 141 万 5,000 円以上、厚生年金
保険にあっては報酬月額が 63 万 5,000 円以上である場合に限る。)が降
給したことにより、その算定月額が健康保険第 49 級又は厚生年金保険第
30 級以下の標準報酬月額に該当することとなった場合
・第2級の標準報酬月額にある者の報酬月額が降給したことにより、その算
定月額が健康保険にあっては5万 3,000 円未満、厚生年金保険にあって
は8万 3,000 円未満となった場合