年金情報 特定期間該当届の提出

特定期間該当届の提出について
日本年金機構では、本来第1号被保険者期間であるにもかかわらず第3号被保険者期間とされていた期間について、第1号被保険者期間へ記録を訂正し、該当者に「特定期間該当届」を送付して提出するよう勧奨を行っています。市区町村では取り扱っていないので、住所地を管轄する年金事務所に提出します。

≪特定期間該当届とは≫
原則として日本に居住する20歳から60歳までのすべての方が国民年金に加入することになっています。会社員や公務員は国民年金第2号被保険者、その方に扶養されている妻(夫)を国民年金第3号被保険者といいます。第3号被保険者期間については、手続により自分で保険料を納めなくても納付期間として年金額に反映されます。
第2号被保険者である夫(妻)が退職したときや、妻(夫)の年収が増えて扶養家族から外れたとき、夫(妻)が65歳に到達して第2号被保険者に該当しなくなったときには、妻(夫)は第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更届を出して保険料を納めなくてはなりません。
この届出が2年以上遅れた場合、2年より前の期間は時効により保険料を納付することができないため、保険料の未納期間が発生します。これを「時効消滅不整合期間」といいます。平成25年6月に「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が改正され、平成25年7月1日から「特定期間該当届」を提出すれば、この未納期間が合算対象期間となり、受給資格期間に算入されるようになりました。

無期転換ルールの特例

『半年空白あって良い? ~定年後に継続雇用』
Q.社員の定年を60歳と定めていますが、希望者を原則65歳まで嘱託で雇用しています。今般社員の1人が定年を迎えますが、本人から「できれば半年充電期間をもらって、その後再雇用してもらえないか」と打診されました。法令上要請されているのは定年を挟んで引き続き雇用する形だと思われますが、こうした運用でも問題はないでしょうか。

A.本人の希望があれば可能
65歳未満の定年を定める事業主は65歳までの雇用を確保する措置を講ずる義務がありますが、「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の定めの廃止」のいずれかによることとされています。実際には「継続雇用制度」を採用する企業が多いようです。
継続雇用は定年後も引き続き雇用する制度ですが、再契約等の事務処理に一定期間を要する場合もあり得ます。退職日から1日でも空白があると直ちに違反になるとはいえないものの、定年後相当期間をおいての再雇用は「継続雇用制度」とはいえない場合もあるとされています。
もっとも「高年齢者の希望」により65歳までの安定した雇用を確保する趣旨ですので、本人の希望で定年退職日の半年後に再雇用できることで選択肢が広がるのであれば、違法になる可能性は低いでしょう。

さらに、その方が無期転換を要求した場合に備えて、無期転換の特例を申請することもできます。
詳しくは弊所へご連絡ください。

10年期間短縮年金の繰上げ請求

繰上げ請求をする方の手続
繰上げ請求手続です。事前請求ができて、かつ繰上げ請求ができるのは、実際には、特別支給の老齢厚生年金を受給できるようになった方で、65歳未満の方ということになります。こうした方が繰上げ請求をしたくても、事前請求の際には10年短縮年金と同時に請求することができませんでした。繰上げ請求をするには、8月1日以降に「特別支給の老齢厚生年金受給権者老齢基礎年金支給繰上げ請求書」(様式第234号)を新たに提出します。
また、8月1日以降は従来どおり、年金請求書と同時に「老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書」(様式第102号)を提出します。
いずれも、繰上げ請求した日の属する月の翌月から年金を受給します。

無期転換ルールの特例とは

継続雇用の高齢者の特例
通常は、同一の使用者との有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合に無期転換申込権が発生しますが、
・適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主の下で、
・定年に達した後、引き続いて雇用される
有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)については、その事業主に定年後引き続いて雇用される期間は、無期転換申込権が発生しません

無期転換ルールに対応した就業規則(案)

第○○条 (無期労働契約への転換)
会社における有期労働契約期間を通算した期間(以下「通算契約期間」という。)が5年を超える有期パートタイマーであって、引き続き雇用を希望するものは、会社に対し、期間の定めのない労働契約へ転換すること(以下「無期転換」という。)の申込みをすることができる。
2.前項に定める契約期間の通算は、平成 25 年 4 月 1 日以降を初日とする有期労働契約から開始するものとし、会社との間に有期契約期間が締結されていない期間が 6 ヶ月以上ある場合には、 それ以前に会社と締結していた有期労働契約の契約期間は通算しない。
3.1項の申込みをしたときは、申込みをした有期パートタイマーは、現に締結している労働契約が満了する日の翌日から無期パートタイマーとなる。
4.無期パートタイマーの労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間及び定年の定めを除く。)と同一のものとする。ただし、無期パートタイマーとの合意のうえ、異なる労働条件を定めることができる。
5.無期転換の申込みは、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日の1か月前までに、書面で行わなければならない。

育児休業期間中の保険料免除

育児休業中は多くの企業がノーワーク・ノーペイの原則に基づき、給与を支給していません。そのため、社会保険料の負担が大きくなること等から、年金事務所等へ「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を提出することで、最長子どもが3歳になるまで会社負担分・本人負担分ともに社会保険料が免除となる仕組みがあります。なお、この申出を提出するタイミングは以下の4つとなっています。
①1歳までの育児休業
②1歳から1歳6ヶ月に達するまでの育児休業
③1歳6ヶ月から2歳に達するまでの育児休業
④1歳から(②の場合は1歳6ヶ月、③の場合は2歳)から3歳に達するまでの育児休業等
育児休業を取得もしくは延長をする場合には、①~④の都度提出することになります。
なお、④は、会社で3歳までの育児休業制度を設けている場合が対象となります。

社会保険料が免除されている期間も被保険者資格に変更はなく、育児休業前と同様に健康保険証を利用すること等ができます。また、将来、年金額を計算する際等には、厚生年金保険料を納めた期間として扱われます。今回は、育児休業の社会保険料についてとり上げましたが、産前産後休業中も同様の免除制度があります。