感染症と休業補償

就業制限の対象となる感染症

労働安全衛生法68条(病者の就業禁止)
事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

労働安全衛生規則61条(病者の就業禁止)
事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しな ければならない。ただし、第一号に掲げる者について伝染予防の措置をした場 合は、この限りでない。
一 病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者
➡結核(平成12年3月30日、基発第207号)
二 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかつた者
三 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかつた者

就業規則第80条(就業禁止)
他人に感染するおそれのある疾病にかかっている者、または疾病のため他人に感染させるおそれのある者、その他医師が就業が不適当であると認めた者については就業させない。
2.会社は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止する。
① 病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者
② 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者
③ 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものおよび感染症予防法で定める疾病にかかった者
3.従業員は、同居の家族または同居する者が他人に感染するおそれのある疾病にかかり、またはその疑いのある場合には、直ちに会社に届け出て必要な指示を受けなければならない。
4.就業を禁止された期間は、無給とする。ただし、会社が必要と認めるときは、特別休暇を付与し、または在宅での軽易な業務を命ずることができる。

労働契約法5条(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
《新型インフルエンザとは》
新型インフルエンザとは、鳥(や豚)の病気で鳥から鳥へと感染が広まっていたものが、何らかの条件が重なりインフルエンザウィルスが変異して、鳥から人へ移り、それがやがて人から人へと移るウィルスに変異することによって起こります。
このように人から人へと移るウィルスに変異して初めて「新型のインフルエンザウィルス」と判定されるのです。
このウィルスによる免疫はほとんどの人が持っていないので、一旦流行りだすとその勢いは止まらず、世界的な大流行「パンデミック」が起こる可能性が高くなります。

《新型インフルエンザと季節性インフルエンザの違い》
●新型インフルエンザ・・・新しく生まれるウィルスによって起こるインフルエンザ
●季節性のインフルエンザ・・・毎年流行するウィルスによるインフルエンザ

労働基準法26条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

《就業制限の対象となる感染症》
感染予防法18条:別紙のとおり

《年次有給休暇を使って休ませることはできますか?》
法律や医師の指示ではなく、会社の判断で休ませる場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するため休業手当を支払う必要があります。
会社が強制的に年次有給休暇を取得させることはできません。
しかしながら、平均賃金の6割を休業手当として支払っても、従業員側からしてみると4割の収入減となるため、結果的に従業員が年次有給休暇を申請するケースが多いです。あくまでも従業員が申請して初めて年次有給休暇を使うことができるので、強制にならないようご留意下さい。

キャリアアップ助成金 H30年度変更内容

正社員化コース
●1年度1事業所あたりの支給申請上限人数が、従来の「15人」から「20人」に拡充
●支給要件に「正規雇用等へ転換した際、転換前の6カ月と転換後の6カ月の賃金を比較して、5%以上増額していること」および「有期契約労働者からの転換の場合、対象労働者が転換前に事業主で雇用されていた期間が3年以下に限ること」が追加

副業・兼業の定め 厚生労働省モデル就業規則例

厚生労働省のモデル就業規則では、従来兼業を禁止していたが、今回の改正ではできる規定とした。
貴社の会社に適合しますか?

(副業・兼業)
第67条  労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合