働き方改革 労違法残業で相次ぎ運輸業送検 協定守らず120時間超

労違法残業で相次ぎ運輸業送検 協定守らず120時間超 厚木労基署
 神奈川・厚木労働基準監督署は、違法な長時間労働を繰り返していた運輸業2社を相次いで司法処分した。36協定を超えて時間外・休日労働を行わせたとしてトラック運送業のダイワ運輸㈱(兵庫県神戸市)と当時の厚木営業所長代理を、別件で路線バス事業の神奈川中央交通東㈱(神奈川県平塚市)と同社大和営業所長をそれぞれ労働基準法第32条(労働時間)違反などの疑いで横浜地検に書類送検している。いずれも時間外・休日労働が最長で月120時間に上っており、複数回にわたって是正指導したにもかかわらず、人手不足から改善を怠っていた。
 ダイワ運輸の36協定は、「時間外労働1日7時間、1カ月93時間、2週間に1回の休日労働可能」との内容で締結していた。令和元年5~10月の6カ月間、労働者1人に対して休日労働を含め最長120時間の時間外労働を行わせた疑いがある。労働者は関西、群馬方面へ雑貨の運送を担当しているドライバーだった。
 期間中、1日の最長の総労働時間は、所定の8時間に加え、36協定で締結していた限度の7時間、さらに超過した6時間を含め合計で21時間に及んでいた。休日労働は最多で月3回、実質的に休日が1日しかない月もあった。
 「自動車運転者の労働時間などの改善のための基準(改善基準告示)」では、1日の拘束時間を13時間以内、労使協定で延長する場合であっても16時間を限度としている。ダイワ運輸では、改善基準告示にも違反していたとみられている。
 神奈中東では、時間外労働1カ月85時間で36協定を締結していた。平成30年7~9月、路線バス運転士1人に対して最長で月35時間を超過し、計120時間の時間外労働を行わせた疑いで送検している。立件期間はとくに労働時間の長かった3カ月間を対象とした一方、「3カ月間で常にこの運転士が(事業所内で)最長の残業時間だったわけではない」などと同労基署は話している。
 両社には複数回にわたり是正指導をしていたが、改善がみられなかったため送検に至った。違反の背景として、恒常的に人員を上回る仕事量が生じていたことを挙げている。