日々の仕事で「やらなきゃいけない」と分かっていても、つい後回しにしてしまう業務はありませんか。
このような行動の習慣化について、ヒントを与えてくれるのが、アメリカの心理学者 B.F.スキナー(Burrhus Frederic Skinner) の有名な実験です。
1. スキナー箱の実験とは
スキナーは、はとやネズミを使った行動実験で、行動と報酬の関係を研究しました。
箱(のちに「スキナー箱」と呼ばれる)に入れられたネズミがレバーを押すと、餌が出てくる仕組みです。
この仕組みを使い、スキナーは以下のような発見をしました。
即時の報酬
レバーを押すとすぐに餌がもらえる場合、ネズミは素早くその行動を覚える。
不定期の報酬
レバーを押しても毎回ではなく、時々餌が出る場合、ネズミは長くレバーを押し続ける。
報酬がない
まったく餌が出なくなると、やがてレバーを押す行動は減少する。
2. ビジネスや職場への応用
スキナーの研究は動物行動学の枠を超え、人間の行動習慣づくりにも当てはまります。
(1) 行動を覚えやすくするには「即時のフィードバック」
新しい業務や行動を定着させるには、やった直後に評価や感謝を伝えることが効果的です。
例)新人が正しい報告書を作成できたら、その場で「助かるよ、ありがとう」と声をかける。
(2) 行動を継続させるには「変動のある報酬」
毎回同じ評価ではなく、時々予想外の褒め言葉や感謝の表現を与えることで、モチベーションは持続します。
例)数回に一度、特別に労をねぎらうコメントを添える。
(3) 報酬をなくすと行動は減る
努力や成果が認められない状態が続くと、人はその行動をやめてしまいます。
例)改善提案を出しても反応がなければ、次第に提案自体をしなくなる。
3. 習慣化のためのポイント
スキナーの実験結果から、職場で行動を習慣化させるためのポイントは次の通りです。
行動を簡単にする
複雑な手順を減らし、すぐに行動できるようにする。
小さな達成感を与える
大きな成果を待つのではなく、小さな成功をその場で評価する。
不定期の特別評価を織り交ぜる
予想外の感謝や称賛が、行動を長期的に維持させる。
まとめ
スキナーの心理学は、「どうすれば人が行動を続けるのか」を解明するヒントを与えてくれます。
職場でも、即時フィードバックと変動的な報酬を上手に組み合わせることで、社員のモチベーションと行動習慣を高めることができます。
これはまさに、心理学を活用した職場改善の実践法です。