労働時間の特例

▼週44時間超をカウントか 長時間労働者の面接指導 小規模店舗は法定時間に特例
Q 安衛法の改正により、「長時間労働発生時の面接指導」に関する規制が厳しくなりました。当社では、これまで面接指導の申出例はありませんでしたが、今後は従業員の啓発に努めたいと考えています。本社管理部門を除き、小規模店舗は特例措置対象事業場として週44時間制を適用しています。この場合、「月80時間超」はどのように考えるのが正しいのでしょうか。

A休日含め40時間超みる
 医師による面接指導に関しては、①一般の労働者(安衛法66条の8)、②研究開発職(66条の8の2)、③高度プロフェッショナル制度適用者(66条の8の4)の3種の規定が設けられています。このうち①を取り上げます。
 ①のグループの場合、「1カ月の時間外等が80時間を超え、疲労の蓄積が認められる者が申し出ること」が面接実施の要件とされています。「80時間超」の考え方ですが、条文では「休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超える」という文言を用いています(安衛則52条の2)。
 この40時間は、いうまでもなく週の法定労働時間40時間(労基法32条1項)とリンクしています。一方、労基法では週の法定労働時間等に関する特例を設けています。商業、映画・演劇業(映画製作除く)、保健衛生業、接客娯楽業で規模10人未満のものについては、週44時間、1日8時間制が認められています(労基則25条の2)。
 しかし、安衛則52条の2に関しては、週44時間制の適用規定は設けられていません。 面接指導制度創設時の解釈例規(平18・2・24基発0224003号)でも、特例措置対象事業場(週44時間)、変形労働時間制やフレックスタイム制を採用している事業場でも次の算式を用いて時間外・休日労働時間を計算するとしています。
 1カ月の総労働時間数(労働時間数+延長時間数+休日労働時間数)-(計算期間の総暦日数÷7)×40
 ➡ですから、一般事業場と同じ基準に基づき「時間外・休日労働時間」を把握し、80時間を超えるときは労働者にその情報を提供する必要があります(安衛則52条の2第3項)。