働き方 『同条件でも加入不要に? 被保険者の「4分の3」』

『同条件でも加入不要に?被保険者の「4分の3」』

Q.私はパート勤務で、入社時に社会保険に加入しました。自分としては「夫の被扶養者のままでよかった」のですが、勤務時間の関係でそうなりました。しかし、最近、ほぼ同じ条件で採用されている人たちは、被保険者になっていないようです。不公平に感じますが、なぜなのでしょうか。

A.1日の時間要件なくなる 週30時間以上が基準に
会社が法律どおり、適切に加入手続きを採っていたとしても、制度の移行期には「不公平」にみえる状況も起こり得ます。
平成28年10月から、社会保険の適用範囲が拡大されました。当面、500人超の企業が対象で、現在、ボーダーラインの 引き下げが検討されています。
平成28年10月以降も、500人以下の企業では、いわゆる「4分の3条件」に従って、社会保険加入の要否を判断します。
しかし、法律の整備に伴い「4分の3条件」は微妙な見直しが行われました。従来は、「昭55・6・6内かん」と呼ばれる文書が根拠とされ、「1日または1週の所定労働時間および1日の所定労働日数が常時雇用者のおおむね4分の3以上であること(この基準に該当しなくても就労形態や勤務内容等から常用的使用関係にあると認められれば被保険者になる)」という定め方となっていました。
しかし、平成28年10月施行の改正法では、法律の本則で明確な考え方が示されました。被保険者となる基準は、「週の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上および1カ月の所定労働日数が同4分の3以上」であることです。
ですから、内かんに則れば「被保険者となり得た」人が、新基準では対象外となるケースも起こり得ます。このため、「施行日前に被保険者資格を有する人は、その事業所に使用されている間は新基準を適用しない(資格喪失させない)」という経過措置が設けられています。ですから、ご質問者もいったん退職し、同じ条件で再度採用されれば、今度は被保険者にならない可能性があります。