106万円、130万円、150万円の壁

年収の壁と言われる金額とは次のとおりです。

年 収
103万円→150万円(平成30年から)
サラリーマンの夫の「所得税の扶養親族」として認められる金額。「配偶者特別控除」があるため、この金額を超えても、夫の所得税は少しずつ増えるだけで、会社の扶養手当の条件でなければ、それほど気にする必要はない。平成30年から、それまでの103万円が150万円に変わりました。

106万円 (500人超の会社)
社会保険加入基準 正社員が500人を超える会社で働くパートは、「週20時間以上・月収88,000円以上」なら社会保険に加入しなければならない。88,000円を12倍した1,056,000円から「年収106万円の壁」と言われたいます。

130万円 健康保険の被扶養者(60歳以上は180万円)
第3号被保険者 夫の健康保険の被扶養者・国民年金の第3号被保険者に認められる金額。これから先の1年間で130万円を超えるかで決まるが、これには非課税の通勤手当や失業保険も含める。130万円以上になると、国民健康保険・国民年金の保険料納付義務が生じます。

特定保険料納付期間終了と年金額の減額開始

平成30年3月末日で特定保険料の納付できる期間が終了し、納付状況によっては、4月以降の年金額(6月15日入金分)から減額が開始されます。

1.国民年金第3号被保険者の不整合記録問題
《第2号被保険者を夫、第3号被保険者を妻で説明いたします。》
いわゆるサラリーマンの会社員や公務員などの第2号被保険者(夫)に扶養されている配偶者(妻、20歳以上60歳未満の方)は、国民年金の第3号被保険者となり、ご自身で保険料を納付する必要はありません。しかし、その後、夫の退職などで、ご自身が第3号被保険者の資格を有さなくなれば、国民年金保険料の納付が必要な第1号被保険者となり、その届出はご本人が行うように義務付けられています。ところが、その届出が行われなかったため、第3号被保険者のままの年金記録である方が相当数あることが判明し、「3号不整合記録問題」といわれています。
このような不整合記録が多く発生したのは、夫の2号被保険者資格喪失に伴って自動的に妻の3号被保険者が資格喪失するしくみにはなっていないのが問題とされ、平成26年12月からは事業主経由での届出が義務化されています。
なお、不整合記録を訂正すると、第3号被保険者のままとなっていた期間は第1号被保険者の未納期間として扱われることになります。

2.特定受給者の年金額の減額幅
平成25年7月以後に3号期間を1号期間に訂正して時効消滅不整合期間を有することになった方で、時効消滅不整合期間を保険料納付期間として年金を受けている方を「特定受給者」といいます。特定受給者については、特定保険料納付期限日の平成30年3月31日までの間は時効消滅不整合期間が保険料納付期間とみなされて年金額が維持されていましたが、平成30年4月以降は訂正後の正しい記録による年金額に改定されます。すべての時効消滅不整合期間を特例追納できなければ減額となりますが、減額幅は10%が上限になります。
なお、不整合記録訂正後の年金記録では受給資格(10年)を満たさなくなる場合には、平成30年3月31日に年金が「支給停止」されます。ただし、「時効消滅不整合期間に係る特定期間該当届」を提出していれば、支給停止されません。

給与計算 割増賃金

 次のような手当について、算定基礎となる賃金より控除してよいのでしょうか。
(1) 家族手当、住宅手当
(2) 皆勤手当
(3) 営業手当、役付手当

(1) 法律上列挙されている手当のみ控除対象となります。
この点、家族手当については労働基準法37条5項に、住宅手当については労働基準法施行規則21条に該当しますので、形式的には控除できそうですが、手当の内容(算出方法)によっては控除できない場合もあります。

(2) 皆勤手当は労働基準法37条5項及び労働基準法施行規則21条に定める手当に該当しないため、控除不可です。
但し、皆勤手当支給の制度設計如何によっては控除可能な手当になる場合も考えられます。
(3) 営業手当および役付手当は労働基準法37条5項及び労働基準法施行規則21条に定める手当に該当しないため、控除不可です。
 但し、当該手当の内容が、いわゆる固定残業代(定額残業代、みなし残業代)に該当する場合は、控除可能です。

解説
(1) 家族手当、住宅手当について
上記回答にも記載した通り、割増賃金の算定基礎となる賃金より除外できる手当は法定列挙されています。現行法上は、次の7種類です。
① 家族手当
② 通勤手当
③ 別居手当
④ 子女教育手当
⑤ 住宅手当
⑥ 臨時に支払われた賃金
⑦ 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金

そうすると、設問の「家族手当」も「住宅手当」も法定列挙されていますので、算定基礎賃金より控除してもよさそうに考えられます。
もっとも、法律が定めている「家族手当」と「住宅手当」は日常用語として用いられているものより、かなり狭い範囲の概念となっています。すなわち、
・家族手当=扶養家族又はこれを基礎とする家族手当額を基準として算出されているもの
・住宅手当=実質的に住宅に要する費用に応じて支給されているもの
と定義づけられています。
したがって、例えば、扶養家族の有無や人数に関係なく一律に支給されている場合は、算定基礎から除外できる家族手当には該当しないことになります。また、住宅手当についても、例えば、一律支給される場合、扶養家族の有無によって金額変動させる場合(住宅以外の要素で額を決める場合)、賃貸と持家の区分にしたがって一律に支給する場合には、算定基礎から除外できる住宅手当に該当しないことになります。
なお、実質的な算出方法によって除外の有無を決めますので、例えば、家族手当ではなく、物価手当や生活手当という名称であっても上記のような算出方法に従うのであれば、控除可能です。

(2) 皆勤手当
皆勤手当は法定列挙された手当に該当しませんので、算定基礎となる賃金から除外される手当には該当しません。
もっとも、皆勤手当の支給要件を、例えば3ヵ月を一単位として支給の有無を決する場合には、「1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当しますので、理論的には算定基礎となる賃金から除外される手当に該当することになります。
ただし、皆勤手当という日常イメージからすれば、一賃金計算時期(1ヵ月)によって区分されるのが通常ですので、何故、1ヵ月を超えて支給の有無を決するのか合理的な理由が無い限り、脱法行為と言われてしまう可能性がありますので、注意が必要です。

(3) 営業手当、役付手当
営業手当及び役付手当はいずれも法定列挙された手当に該当しませんので、算定基礎となる賃金から除外される手当には該当しません。
もっとも、最近の賃金体系で見受けられる、いわゆる固定残業代(定額残業代、みなし残業代など色々な呼び方があります)として位置付けられているのであれば、算定基礎となる賃金から除外できることになります。
これは、固定残業代それ自体が割増賃金として支給されている以上、算定基礎となる賃金に含めてしまうと二重評価となってしまうからです。
なお、いわゆる固定残業代として有効性を維持するためには、社内規程上に根拠を有すること、何時間分に該当するのか労働契約書等で明示すること、手当をおける時間外労働が発生した場合には精算を行うことが、最低要件になると考えられます。

※上記記載事項は当職の現時点での見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合があります。

働き方改革 労働基準法改正

労働基準法改正(労働時間法制の見直し)
【 時間外労働の割増率に関する中小事業主の猶予措置】
中小事業主については、時間外労働が月60時間を超えた場合の割増率(5割以上)の適用が猶予されているが、この措置は、2022年3月31日までとする。
【年次有給休暇の一部義務化】
使用者は、年次有給休暇の日数が10日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち5日については、年次有給休暇の付与後、1年以内の期間に時季を定めることにより、与えなければならいものとする。ただし、労働者の時季指定又は計画的付与制度により年次有給休暇を与えた場合の当該日数分については、この限りではない。

助成金 無期転換

無期雇用転換計画に基づき、当該無期雇用転換計画期間内に、雇用する50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換すること。
(ただし、転換実施時期が明示されており、かつ有期契約労働者として雇用後5年以内に無期雇用労働者に転換する制度に基づき転換した場合に限ります。)

遺族年金

遺族年金
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。
被保険者であった方につきましては、受給資格期間が25年以上あることが必要です。
遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなられた方の年金の納付状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給されます。
遺族年金を受け取るには、亡くなられた方の年金の納付状況・遺族年金を受け取る方の年齢・優先順位などの条件が設けられています。

無期転換ルールに対応した就業規則の作成

正社員の定義を明確化し、無期転換社員には適用されない旨も明確化した正社員就業規則が必要となります。
(適用範囲)
第●条 この規則は、期間の定めのない労働契約を締結した者のうち、職務の内容及び勤務地に限定がなく、当社の基幹的業務に携わる者(以下、「正社員」という。)に適用する。
2 次の者については、本規則は適用されない。
① 契約社員(有期フルタイム契約社員)
期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を締結し、かつ週の所定労働時間が正社員と同じ者
② パートタイム社員(有期パートタイム社員)
期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を締結し、かつ週の所定労働時間が正社員よりも短い者
③嘱託社員
定年後再雇用により嘱託社員契約を締結した者
④無期転換(フルタイム)社員
労働契約法18条に基づき無期労働契約に転換した契約社員
⑤ ・・・

労使協定の届け出 36協定

主な労使協定とその届出義務

(1)時間外労働・休日労働に関する労使協定(36協定) ○
(2)60時間超時間外労働の代替休暇に関する協定 ×
(3)賃金控除に関する労使協定 ×
(4)一斉休憩の適用除外に関する労使協定 ×
(5)社内預金に関する労使協定 ○
(6)1ヵ月単位の変形労働時間制に関する労使協定 △
(7)1年単位の変形労働時間制に関する労使協定 ○
(8)1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する労使協定 ○
(9)フレックスタイム制に関する労使協定 ×
(10)事業場外労働に関する労使協定 △
(11)専門業務型裁量労働制に関する労使協定 ○
(12)年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定 ×
(13)年次有給休暇の時間単位付与に関する協定 ×
(14)年次有給休暇中の賃金に関する労使協定 ×
(15)育児・介護休業等の適用除外者に関する労使協定 ×
(16)65歳までの継続雇用制度に関する労使協定 ×

※労働基準監督署への届出が、○:必要 △:条件による ×:不要
 企業の労務担当者としては、規程に対応した労使協定がきちんと締結・届出されているのか、一度確認しておくことが望まれます。

平成30年度の年金額は前年度据え置き

厚生労働省は、1月26日、総務省が同日に平成29年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)を公表したことを踏まえ、平成30年度の年金額は平成29年度から据え置きとなると発表しました。これにより、平成30年度の67歳以下の新規裁定者の年金額は、国民年金(老齢基礎年金の満額1人分)で64,941円、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)で221,277円となります。なお、厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬42.8万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け始める場合の年金額。
年金額の改定では、法律により、賃金水準の変動がマイナスで物価水準の変動がプラスの場合は、新規裁定年金および既裁定年金ともにスライドしないと規定されています。

平成30年度の年金額の改定では、新規裁定年金および既裁定年金ともにスライドはしない。
物価変動率が+0.5%
名目手取り賃金変動率が-0.4%

また、賃金・物価の変動がプラスになる場合に年金額の改定率から、公的年金被保険者の減少と平均余命の伸び率を勘案したスライド調整率(平成30年度はマイナス0.3%)を控除して、年金の給付水準を調整するマクロ経済スライドについては、平成30年度は実施されず、平成28年に成立した年金改革法に基づいて、未調整分のマイナス0.3%は翌年度以降に繰り越されます。
なお、在職老齢年金の60歳台前半(60歳~64歳)の支給停止調整開始額の28万円および支給停止調整変更額の46万円、60歳台後半(65歳~69歳)と70歳以降の支給停止調整額の46万円についても、平成29年度から変更はありません。

平成30年度の協会けんぽ健康保険料率

平成30年度の協会けんぽ千葉支部の健康保険料率については、平成29年度と同率の9.89%に据え置きとなります。一方、介護保険料率(全国一律)については、現状の1.65%から1.57%に引き下げとなります。
(平成30年3月分(4月納付分)より変更)

●平成30年度の健康保険料率→9.89%(平成29年度から据え置き)
●平成30年度の介護保険料率→1.57%(平成29年度の1.65%から引き下げ)