働き方改革 休憩時間

▼残業中も休憩必要? 社員は早い帰宅を望む
Q: 所定労働時間が7時間で休憩時間を45分に設定しています。最近、一部の社員に恒常的な残業が生じている事態が発覚し、残業が1時間を超えると15分休憩を付与しなければいけない旨を伝えたところ、早く帰りたいので残業中の休憩は取りたくないというのですが、こうした要望を認めて良いでしょうか。

A:希望受けると使用者違法に使用者は、労働者の労働時間が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える場合は最低1時間の休憩時間を与えなければなりませんが(労基法34条1項)、これは所定労働時間ではなく、実際に労働した時間に基づいて課せられる義務で、残業により8時間を超えたときは1時間の休憩時間が必要です(昭23・11・27基発41号)。休憩時間の分割は可能で、残業中に不足する15分を追加で付与することは違法になりません。
 ただし、休憩を労働時間の「途中」ではなく始業前や就業後に付与することは認められません。そのため休憩を取らずに残業を続けたいという労働者の希望を受け入れると、使用者の措置が違法となってしまいます。使用者としては、追加の休憩を要する残業を一定の日にまとめたり、担当業務の割振りを工夫してできるだけ定時に帰れるようにするなどの対策を講じるべきでしょう。

年次有給休暇 5日間取得

 働き方改革関連法の施行に伴い、年5日の年次有給休暇の確実な取得が求められるようになりました。厚生労働省は「改正労働基準法に係る疑義照会・応答事例(平成31年3月14日)」を内部資料として作成し、全国の労働基準監督署に通達しています。
  【疑義】
 法第39条第7項により時季指定付与したが、指定付与日までに自己都合退職などし、退職日までに全ての指定付与日が到来しない場合、退職申出から退職日までの間に、新たに時季指定を行う必要があるか。また、突然の退職等により与えるべき期間が短い場合はどうすればよいか。

【回答】
 法第39条第7項は、年5日の年次有給休暇を実際に取得させることを要するものであり、前段・後段とも、労働者の意見を(再)聴取した上で退職日までに5日の年次有給休暇を取得していただくことが原則である。(なお、実際に突然の退職等により義務を履行できなかった場合には、個別の事情を踏まえた上で、当該事業主に対して丁寧に助言等を行われたい。)

 退職者の取得状況は見落としがちですので、退職の申出があったときには年次有給休暇の取得状況を確実に確認するようにしましょう。

年金 遺族年金(厚生年金)

【支給要件】
1.被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。)
※ただし令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
2.老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
3.1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。

【対象者】
死亡した者によって生計を維持されていた、

子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)

※30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となります。

※子のある配偶者、子(子とは18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限ります)は、遺族基礎年金も併せて受けられます。

障害年金 支給要件

1.国民年金に加入している間に、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(これを「初診日」といいます。)があること
※20歳前や、60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で、日本国内に住んでいる間に初診日があるときも含みます。
2.一定の障害の状態にあること
3.保険料納付要件
初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていることが必要です。ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

年金請求時の添付種類省略

1.各行政機関における情報連携による年金関連手続の変更(令和1年7月1日から)
マイナンバーを活用した「情報連携」により、各行政機関が情報提供ネットワークシステム(情報提供NWS)を用いて特定個人情報の提供を受け、一部の添付書類の省略等に活用するようになりました。
当初平成31年4月を予定しておりましたが、令和1年7月スタートとなりました。

2.省略できる書類(老齢年金の場合)
①、②が省略可能です。
①住民票情報:請求者の世帯全員の住民票世帯主との続柄
②所得情報:請求者・配偶者の所得証明

③、④、⑤は省略できません。
③戸籍謄本…対象外のため従来通り身分関係確認のため添付が必要
④雇用保険情報:雇用保険被保険者番号等(当初は省略検討されていました)
⑤振込先口座情報…金融機関の証明をとるか通帳の写しが必要
※しかし、個人番号未収録者は「情報連携」で情報の提供を受けられず、「情報連携」対象外もあるようです。

3.省略するためには
請求書等の記載事項に加給年金額、加算額の対象者の個人番号記入欄が追加されました。
(1)マイナンバーを記載しない場合
配偶者のマイナンバーは記載しなくても、基礎年金番号を記載してあれば添付書類は省略可能です。
(2)マイナンバーを記載した場合
子のマイナンバーを記載した場合は、次の①または②の添付書類が必要となります。
①マイナンバーカードのコピー
②マイナンバー通知カードのコピーおよび本人確認書類のコピー(顔写真入りでない場合は2つ必要)
(3) 子のマイナンバーを記載しない場合は、従来通りの添付書類が必要です。

※取扱い範囲ならびに取扱い方法について、今後変更の可能性はあります。

働き方改革 就業規則改定

皆さん、働き方改革に向けて取り組みは進んでいますか。
中小企業においても、年次有給休暇は付与日から起算して1年以内に年間5日間取得が義務付けられました。
なかなか忙しいので年次有給休暇を取得させていない会社は罰則の対象となります。
また、従業員の意識改革も必要となります。
一斉付与するには一定の手続きが必要であり、その取り決めを就業規則に記載も必要となります。
詳しくは、当事務所へお問い合わせください。

労働時間の特例

▼週44時間超をカウントか 長時間労働者の面接指導 小規模店舗は法定時間に特例
Q 安衛法の改正により、「長時間労働発生時の面接指導」に関する規制が厳しくなりました。当社では、これまで面接指導の申出例はありませんでしたが、今後は従業員の啓発に努めたいと考えています。本社管理部門を除き、小規模店舗は特例措置対象事業場として週44時間制を適用しています。この場合、「月80時間超」はどのように考えるのが正しいのでしょうか。

A休日含め40時間超みる
 医師による面接指導に関しては、①一般の労働者(安衛法66条の8)、②研究開発職(66条の8の2)、③高度プロフェッショナル制度適用者(66条の8の4)の3種の規定が設けられています。このうち①を取り上げます。
 ①のグループの場合、「1カ月の時間外等が80時間を超え、疲労の蓄積が認められる者が申し出ること」が面接実施の要件とされています。「80時間超」の考え方ですが、条文では「休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超える」という文言を用いています(安衛則52条の2)。
 この40時間は、いうまでもなく週の法定労働時間40時間(労基法32条1項)とリンクしています。一方、労基法では週の法定労働時間等に関する特例を設けています。商業、映画・演劇業(映画製作除く)、保健衛生業、接客娯楽業で規模10人未満のものについては、週44時間、1日8時間制が認められています(労基則25条の2)。
 しかし、安衛則52条の2に関しては、週44時間制の適用規定は設けられていません。 面接指導制度創設時の解釈例規(平18・2・24基発0224003号)でも、特例措置対象事業場(週44時間)、変形労働時間制やフレックスタイム制を採用している事業場でも次の算式を用いて時間外・休日労働時間を計算するとしています。
 1カ月の総労働時間数(労働時間数+延長時間数+休日労働時間数)-(計算期間の総暦日数÷7)×40
 ➡ですから、一般事業場と同じ基準に基づき「時間外・休日労働時間」を把握し、80時間を超えるときは労働者にその情報を提供する必要があります(安衛則52条の2第3項)。

中途採用者の募集要項

『募集要項に賃金必要か「経験や年齢考慮」と記載』
Q.自社ホームページにある中途採用者の募集要項には、賃金は「経験や年齢等を考慮して決定」としています。その他、年収モデルを例示しています。募集要項で、賃金額を明らかにすべきでしょうか。

A.面接時などの明示可能
労働者の募集を行う者等は、募集に際して労働条件を明示し、当初の条件を変更する場合はあらためて明示が必要です。
原則として、募集に応じて労働者となろうとする者と「最初に接触する時点までに」明示が必要としています。具体的には、面接、メール、電話などにより、意思疎通が発生する時点をいい、単なる応募希望はこれに該当しないとしています(厚労省「職業安定法Q&A」)。
指針や前掲Q&Aでは 募集要項等には労働条件に関するすべての事項を明示すべきとしつつ、紙幅の制限等を理由として、詳細は面談のときに伝えることも可能としています。
年収モデルは一例で目安ですが、指針では、明示する労働条件等は虚偽または誇大な内容としないことや、労働条件等の水準、範囲等を可能な限り限定することとしていて留意が必要でしょう。

国民年金の加入手続き

1.国民年金加入手続き
20歳以上60歳未満の日本国内居住の方は、国民年金に加入することになっています。国民年金には、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金があります。これは、国民年金が、年をとったとき、病気やケガで障害が残ったとき、家族の働き手が亡くなったときに、働いている世代みんなで支えようという考えで作られた仕組みだからです。

2.会社を退職(失業)された方は、国民年金への変更手続きが必要
20歳以上60歳未満の方は、国民年金への加入が法律で義務付けられています。勤務先を退職(失業)されたときは、厚生年金保険から国民年金への変更の届出が必要です。
※勤務先を退職(失業)された方に扶養されていた配偶者も、国民年金への変更の届出が必要です。

働き方改革 年次有給休暇 半日単位・時間単位による時季指定の可否

【問】法第39条第7項の規定による時季指定を半日単位や時間単位で行うことはできるか。

【回答】
則第24条の6第1項の規定により労働者の意見を聴いた際に半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合においては、使用者が法第39条第7項の年次有給休暇の時季指定を半日単位で行うことは差し支えない。この場合において、半日の年次有給休暇の日数は0.5日として取り扱うこと。
また、法第39条第7項の規定による時季指定を時間単位年休で行うことは認められない。