新型コロナウイルスに罹患した場合 休業手当

新型コロナウイルスに罹患した場合
この場合、使用者は当然に労働者を休ませることになるかと思いますが、ここで問題なるのが、労働基準法に定める休業手当を支払うべきか否かです。

労働基準法第26条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 上記の通り、労働基準法では「使用者の責めに帰すべき事由による休業」の場合は、休業手当を支払わなければならないとされていますので、今回の新型コロナウイルスの感染が「使用者の責めに帰すべき事由」に該当しているかどうかを考えなくてはなりません。
 「使用者の責めに帰すべき事由」とは何を指すのか、労働基準法コンメンタールでは以下の通り示されています。

使用者の責めに帰すべき事由
「使用者の責めに帰すべき事由」とは、第一に使用者の故意、過失又は信義則上これと同視すべきものよりも広く、第二に不可抗力によるものは、含まれない。

すなわち、新型コロナウイルスの感染が不可抗力による場合には、「使用者の責めに帰すべき事由」に該当しないことになります。

パワハラ防止措置は6月より 大企業で義務化に

今回のパワハラ防止措置は、労働施策総合 推進法の中で、相談体制の整備等の雇用管理 上の措置が義務づけられ、また従業員が会社 に相談等したことに対して不利益に取扱うこ との禁止が規定されています。施行時期は,大企業が2020年6月1日、中小企業は2022年4 月1日(2022年3月31日までは努力義務)となっ ています。
今回、パワハラの定義が、パワーハラスメ ント防止のための指針(以下、「指針」とい う)の中で明確にされ、職場において行われ る①優越的な関係を背景とした言動であって、 ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものに より、③労働者の就業環境が害されるもので あり、①~③までの要素をすべて満たすもの とされました。 客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲 で行われる適正な業務指示や指導については パワハラには該当しません。

法改正 64歳以上の従業員の雇用保険料の給与からの控除

平成28年の雇用保険法改正に伴い、平成29年1月1日以降、これまで被保険者とならない65歳以上の従業員も雇用保険の被保険者となりました。また、この改正と同時に令和2年度より、雇用保険料の徴収が免除となっている64歳以上の雇用保険の被保険者について、雇用保険料が徴収されることが決定しています。
したがって令和2年4月分の給与より、雇用保険の被保険者となっている全従業員の給与から雇用保険料の控除が必要となります。

働き方 『同条件でも加入不要に? 被保険者の「4分の3」』

『同条件でも加入不要に?被保険者の「4分の3」』

Q.私はパート勤務で、入社時に社会保険に加入しました。自分としては「夫の被扶養者のままでよかった」のですが、勤務時間の関係でそうなりました。しかし、最近、ほぼ同じ条件で採用されている人たちは、被保険者になっていないようです。不公平に感じますが、なぜなのでしょうか。

A.1日の時間要件なくなる 週30時間以上が基準に
会社が法律どおり、適切に加入手続きを採っていたとしても、制度の移行期には「不公平」にみえる状況も起こり得ます。
平成28年10月から、社会保険の適用範囲が拡大されました。当面、500人超の企業が対象で、現在、ボーダーラインの 引き下げが検討されています。
平成28年10月以降も、500人以下の企業では、いわゆる「4分の3条件」に従って、社会保険加入の要否を判断します。
しかし、法律の整備に伴い「4分の3条件」は微妙な見直しが行われました。従来は、「昭55・6・6内かん」と呼ばれる文書が根拠とされ、「1日または1週の所定労働時間および1日の所定労働日数が常時雇用者のおおむね4分の3以上であること(この基準に該当しなくても就労形態や勤務内容等から常用的使用関係にあると認められれば被保険者になる)」という定め方となっていました。
しかし、平成28年10月施行の改正法では、法律の本則で明確な考え方が示されました。被保険者となる基準は、「週の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上および1カ月の所定労働日数が同4分の3以上」であることです。
ですから、内かんに則れば「被保険者となり得た」人が、新基準では対象外となるケースも起こり得ます。このため、「施行日前に被保険者資格を有する人は、その事業所に使用されている間は新基準を適用しない(資格喪失させない)」という経過措置が設けられています。ですから、ご質問者もいったん退職し、同じ条件で再度採用されれば、今度は被保険者にならない可能性があります。

働き方改革 人事労務Q&A

1.『再就職手当出るか 離職後3カ月経過せず』
Q.中途採用する者について、前職を離職してから3カ月を経過する直前ということで、基本手当は受給していない状況です。再就職手当の対象になるのでしょうか。

A.待期経過後なら原則可
就業促進手当の中には、1年を超える雇用見込みのある職業等に就いた場合に支給される再就職手当と、それ以外の職業に就いた場合の就業手当があります。再就職手当は、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の2以上あるか3分の1以上あるかで支給率が異なってきますが、本件は、まだ支給を受けておらず、100%残っている状況です。
再就職手当は、就職日前3年以内に同手当等を受けているようなときは受給できません。その他、法21条の規定による期間が経過した後職業に就いたことが条件になっています。
法21条は、待期に関する規定です。ハローワークに求職の申込みをした日以後、失業している日が通算して7日必要ということになります。
なお、基本手当について3カ月の給付制限がある人は、待期満了後1カ月間は、ハローワークまたは職業紹介事業者等の紹介で雇用されたことも必要です。

2.『賞与も対象なのか 病気による非常時払い』 
Q.当社では、3月にも賞与を支給しています。従業員が業務外の事由で怪我をして入院し、お金が必要になったことから、毎月の給与だけでなく、賞与の前払いを受けられないかと相談を受けました。賞与についても応じる必要があるのでしょうか。
  
A.法律上応じる必要性はない
労基法25条では、労働者に出産や疾病、災害など思いがけない出費が必要な場合において、賃金の支払期日前に、既往の労働に対する賃金を支払うよう求めています。このほか、非常の場合として、結婚や死亡、やむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷するときも該当するとしており、対象者には、労働者本人だけでなく、その収入によって生計を維持する者も含みます。
繰上げ払いをしなければならないのは既往の労働についてであり、賃金の一定期間払いの特例を定めたものとされています。ただし、支払額・時期の確定していない賞与に関しては、一定期日支払いの適用がありません。このため、非常時払いの対象にはなっていないと考えられます。

労務管理 <感染した方を休業させる場合、休業手当が必要か>

問:労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか。
新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
なお、被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。
具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。
具体的な申請手続き等の詳細については、加入する保険者に確認ください。

令和2年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます

令和2年度の協会けんぽの健康保険料率及び介護保険料率は、本年3月分(4月納付分)*からの適用となります。
*任意継続被保険者及び日雇特例被保険者の方は4月分(4月納付分)から変更となります。
千葉県は、9.81%➡9.75%となります。

令和2年度の年金額が改定されました 【老齢基礎年金額:781,700円】

1.令和2年度の年金額が改定されました 【老齢基礎年金額:781,700円】
令和2年度の年金額は、法律の規定により、令和元年度から0.2%プラスで改定。年金額改定に用いる物価変動率(0.5%)が名目手取り賃金変動率(0.3%)より高いため、新規裁定年金・既裁定年金ともに名目手取り賃金変動率(0.3%)を用いますが、令和2年度は、名目手取り賃金変動率(0.3%)に、マクロ経済スライドによるスライド調整率(▲0.1%)が乗じられることとなり、改定率は0.2%となります。

主な改定は次のとおりです。
項 目 令和2年 令和元年
老齢基礎年金の満額 781,700円 780,100円
配偶者加給年金額 390,900円 390,100円
障害基礎年金
(国民年金は1、2級) 1級:997,125円
2級:781,700円
3級:586,300円(厚生年金の最低保障額) 1級:975,125円
2級:780,100円
3級:585,100円(厚生年金の最低保障額)
遺族基礎年金
(子1人の場合) 1,006,600円 1,004,600円
国民年金保険料 月額:16,540円 月額:16,410円
厚生年金保険料率 18.300% 18.300%

2.令和2年度の国民年金保険料
令和2年度の国民年金保険料は、月額1万6,540円となり、令和元年度の1万6,410円から130円の引き上げとなります。法律に規定されている令和2年度の保険料額は1万7,000円(平成16年度価格。上記の産前産後保険料免除にかかる保険料引き上げ分100円を含む)だが、これに平成16年度以降の物価や賃金の変動を反映した率(0.973)を乗じることにより、1万6,540円となります。(施行日は令和2年4月1日)

3.在職老齢年金について
令和2年度の在職老齢年金の支給停止調整額変更などについては令和元年度から変更ありません。

令和 元 年度 令和 2 年度
60 歳台前半(60 歳~64 歳)の 支給停止調整開始額 28 万円 28 万円
60 歳台前半(60 歳~64 歳)の 支給停止調整変更額 47 万円 47 万円
60 歳台後半(65 歳~69 歳)と 70 歳以降の支給停止調整額 47 万円 47 万円

働き方改革 賃金請求権消滅時効 「当分の間」は3年に 原則5年へ延長も――通常国会

厚生労働省は、今通常国会に労働基準法改正案を提出する。賃金請求権の消滅時効期間を延長するもので、労働政策審議会(鎌田耕一会長)が法案要綱を「おおむね妥当」と答申した。改正民法により「使用人の給料」に関する短期消滅時効が廃止されたことを踏まえて5年とするものの、労基法上の記録保存期間に合わせて当分の間は3年とする。改正法施行から5年経過後に検討を加え、必要があるときは見直しを図るとした。年次有給休暇請求権については、現行の2年を維持する。
 賃金請求権の消滅時効は、民法の特別法である労働基準法第115条において、労働者保護や取引きの安全などの観点から、2年(退職手当については5年間)の消滅時効期間を定めている。今年4月1日に施行する改正民法では、使用人の給料などに関する短期消滅時効を廃止するとともに、一般債権に係る消滅時効は、①債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき、または②権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しないとき――に時効によって消滅するとしている。同法案要綱では、改正民法とのバランスを考慮し、現行2年を5年に延長するとしている。時効の起算点については、現行労基法の解釈・運用を踏襲して、「客観的起算点」と明記した。
 しかし、直ちに長期間の消滅時効を定めると、労使の権利関係を不安定化する恐れがあり、紛争の早期解決・未然防止という時効制度が果たす役割へ影響を及ぼす可能性がある。
 このため、当分の間、現行の労働者名簿などの記録保存義務期間(労基法第109条)に合わせて3年の消滅時効期間とするのが適当とした。労働者名簿などの記録保存義務期間は、紛争解決や監督上の必要から証拠を保存する目的で設けられていることを勘案し、賃金請求権の消滅時効期間と同じく原則5年としつつ、当分の間は3年とする。改正法の施行から5年経過後の施行状況を勘案し、必要性があると認められれば見直しを図る意向である。
 退職手当請求権の消滅時効については、現行の消滅時効期間(5年)を維持する。年次有給休暇請求権の消滅時効期間についても、労働者の健康確保と心身の疲労回復という制度趣旨を踏まえ、年休権が発生した年に確実に取得することが要請されることから、現行の消滅時効期間(2年)を維持する。
 災害補償請求権に関しては、業務上外認定に当たり「業務起因性」を明らかにする必要があるが、時間の経過とともに立証が困難になるとして、同じく現行の消滅時効期間(2年)を維持する。
 厚労省は、今通常国会に労基法改正案を提出する。施行日は、改正民法に合わせ、今年4月1日の予定

働き方改革 パワハラ

▼パワハラを「出来事」に追加 労災認定見直しへ――厚労省
防止対策の法制化考慮
 厚生労働省は、精神障害に対する労災認定基準の見直しに着手した。令和元年6月にパワーハラスメント対策が法制化されたため、パワハラに基づく労災認定のあり方を検討する。現在、労災認定に用いている「業務による心理的負荷評価表」に新たにパワハラによる「出来事」を追加して、影響度などを決定していく。2年度に実施する出来事とストレス度に関する調査結果なども考慮し、3年度以降に認定基準の改定をめざす。
 業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、平成23年12月に厚労省が作成した「心理的負荷による精神障害の認定基準」(基発1226第1号平23・12・26)に沿って労災認定を行っている。精神障害に係る労災請求件数は、平成30年度に1820件に達し、6年連続で過去最多を更新し、今後も増加が見込まれている。令和元年6月にはパワハラ防止対策が法制化され、情勢も変化している。
 このため厚労省は、臨床精神医学者や労災保険法などに精通した専門家で構成する「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」(黒木宣夫座長)を設置、パワハラ対策の法制化を踏まえた認定基準および精神障害に関する最新の医学的知見を踏まえた見直しを進めるとした。「心理的負荷による精神障害の認定基準」によると、疾病の発病に明確な医学的判断があることに加え、発病の前おおむね6カ月の間に業務による強い心理的負荷が認められることが労災認定の要件となっている。
 心理的負荷は、同認定基準別表「業務による心理的負荷評価表」に基づき、「具体的出来事」ごとに、強度を「強」「中」「弱」の3段階で決定している。
 「具体的出来事」では、現在、パワハラに最も近いものとして、「嫌がらせ、いじめ、暴行」や「上司とのトラブル」を設定している。「嫌がらせ、いじめ、暴行」では、部下に対する上司の言動が業務指導の範囲を逸脱し、人格や人間性を否定するような言動が含まれ、かつ執拗に行われた場合などにおいて、心理的負荷を「強」としている。
 「具体的出来事」別の精神障害支給決定件数をみると、「嫌がらせ、いじめ、暴行」は、平成30年度で69件となり、精神障害の支給決定件数全体の約15%を占めているのが実態。
 しかし、パワハラは「嫌がらせ、いじめ、暴行」とは、異質な面があるとの見方から、「具体的出来事」に項目を追加し、新たにパワハラの定義や強度を検討する意向である。パワハラ防止というより、労働者の救済に配慮した見直しとなる。
 厚労省では、ストレス度に関する調査を2年度中に実施し、その結果を参考としながら、翌3年度以降に認定基準の改定を図る予定である。