労働相談が120万件超 「嫌がらせ」紛争めだつ 働き方改革

労働相談が120万件超 「嫌がらせ」紛争めだつ 厚労省
厚生労働省は令和4年度の個別労働紛争解決制度の施行状況をまとめた。都道府県労働局などに設置されている「総合労働相談コーナー」に寄せられた相談が3年連続で120万件を超え、高止まりが続いている。民事上の個別労働紛争の相談内容では、「いじめ・嫌がらせ」が11年連続で最多となった。
 全国に379カ所ある同コーナーに集まった相談は124万8368件で、前年度比0.5%増加した。このうち、労働条件などに関する民事上の個別労働紛争の相談内容は27万2185件で、同4.2%減少した。パワーハラスメントの防止措置などを定めた令和4年4月の改正労働施策総合推進法の全面施行に伴い、パワハラに関する相談については「法違反」や「法制度の問合せ」として計上し、民事上の個別労働紛争の相談として集計しなくなったことなどが影響している。
 民事上の個別労働紛争について、都道府県労働局長が紛争当事者に解決の方向を示す「助言・指導」の申出件数は5.9%減の7987件、紛争調整委員会のあっせん委員が当事者間の話合いを促進する「あっせん」の申請件数は7.1減の3492件だった。
 民事上の紛争内容では、相談、助言・指導の申出、あっせん申請のすべてで「いじめ・嫌がらせ」の件数がトップ。相談件数は6万9932件(18.7%減)、助言・指導の申出は1005件(40.5%減)、あっせん申請は866件(26.1%減)で、順に11年連続、10年連続、9年連続で最多となった。ただし、4年度からはパワハラを計上していないため、「いじめ・嫌がらせ」の集計件数は前年度に比べて大幅に減少している。

働き方改革 労災増加

遊園地の労災 前年比9割増 千葉労働局
 千葉労働局は、令和4年の県内における労働災害発生状況を公表した。新型コロナウイルス感染症の罹患を除いた休業4日以上の労災死傷者数を業種別(中分類)でみると、公園・遊園地が前年比94.3%(82人)増の169人と、大幅に増えた。
 労災増加の原因として同労働局は、コロナの影響で短縮していた営業時間の拡大を挙げている。遊園地などで行われるショーの上演数が増加し、ダンサーの「動作の反動、無理な動作」による労災がめだったという。
 公園・遊園地のほかに死傷者数の増加率が高かったのは、運輸交通業40.2%(43人)増、医療保健業32.2%(38人)増、飲食店24.6%(52人)増だった。同労働局の担当者は、「労災が増加している業種では、とくに転倒・腰痛などの行動災害が増えている傾向にある。行動災害予防の体操や、作業環境の改善を積極的に促していく」と話している。

2024年問題 運送業

適正取引向け荷主側へ要請 中国運輸局など
中国運輸局(益田浩局長)、中国経済産業局(青木朋人局長)、広島労働局(阿部充局長)は合同で、荷主企業が多く加盟する中国経済連合会(清水希茂会長)に対し、トラック運送業者における2024年問題への対策について協力を要請した。
 トラックの2024年問題とは、24年4月から自動車運転者に時間外労働の上限規制が適用されることによって生じる、ドライバー1人が運べる荷物量の減少や、ドライバーの収入減少などの問題を称したもの。
 要請文では、トラック運送業者から運賃交渉の申し出があった場合には、燃料費などのコスト上昇分を考慮した上で積極的に応じることや、長時間の荷待ちを発生させない配慮などを求めた。