社長の年金、もらえない!? ― 経営者こそ知っておきたい年金の仕組み 椎名社会保険労務士事務所

「えっ!? 私、年金もらえないの?」
社長からそんな驚きの声を聞くことがあります。
実は、この言葉には大きな誤解が隠れています。

■ 社長も年金に加入できるのか?

結論から言うと、社長も条件を満たせば年金に加入できます。
ただし、会社員やアルバイトとは少し制度が異なります。

法人の代表取締役などは厚生年金保険に加入することができます。
一方、個人事業主の場合は「第1号被保険者」として国民年金に加入する形になります。

しかし、法人でも「役員報酬0円」などのケースでは厚生年金の加入が外れることもあります。
「登記上の代表者だけど実際は報酬を受け取っていない」場合など、確認が必要です。

■ 経営者が注意すべき“年金加入の盲点”

経営者の中には、「厚生年金に入るのは従業員だけ」と思っている方も少なくありません。
ですが、法人であれば社長自身も加入義務があるのが原則です。

もし未加入のまま長年過ごしてしまうと、
将来「老齢厚生年金」が受け取れず、老後の年金額が大幅に少なくなってしまうことになります。
この差は、月に10万円以上になることも珍しくありません。

■ 在職中の年金支給はどうなる?

経営者の方で多いのが、「会社を続けながら年金をもらえるのか?」という質問です。
令和7年度の制度では、在職老齢年金の支給停止基準は月51万円(総報酬月額相当額+年金月額)です。
つまり、報酬と年金を合わせて51万円を超えると一部または全部が停止される可能性があります。

しかし、令和7年以降も見直しが続いており、
「働きながらも年金を減らさず受け取る」方向に制度は変わりつつあります。

■ 受け取り方で変わる“社長の得する年金戦略”

社長の年金は、**「いつから受け取るか」**によっても大きな差が出ます。
たとえば、65歳から受給するのが原則ですが、
70歳まで繰り下げると最大で42%も増額されます。
一方、60歳から繰り上げると24%減額になります。

事業収入や退職時期、役員報酬の有無などを総合的に見て、
「最も損をしない受け取り方」を選ぶことが大切です。

■ まとめ ― 社長も“自分の老後”を設計しよう

経営者は、つい会社のことを優先し、自分の老後対策を後回しにしてしまいがちです。
しかし、**年金は経営者の「第二の収入基盤」**です。
「加入できるのか」「いくらもらえるのか」「いつもらうのが得か」を早めに確認しておくことが、
将来の安心につながります。

椎名社会保険労務士事務所では、
経営者の方の年金相談や在職老齢年金のシミュレーションも行っています。
「社長も年金をもらえる」その仕組みを正しく理解し、
老後も安心して経営に集中できるよう、ぜひ一度ご相談ください。