今日は労働契約期間についての基礎知識と、企業が契約を結ぶ際の注意点をご紹介いたします。
1. 労働契約期間の基礎
日本の労働基準法において、労働契約期間は原則として自由に定めることができます。しかし、期間の定めがない場合や、不明確な場合には無期契約とみなされる可能性があるので注意が必要です。
2. 期間の定めがある労働契約の最長期間
労働基準法では、特定の事情がない限り、労働契約期間は原則として5年を超えることはできません。特定の事情とは、例えばプロジェクトが終了するまでの期間や、外国人労働者の在留資格の期間などが考えられます。
3. 期間の定めがある労働契約の更新
期間の定めがある労働契約の更新には特に制限はありませんが、同じ労働者と継続して同様の業務に関する契約を結ぶ場合、更新を繰り返すことで無期契約とみなされるリスクが生じます。特に、3回以上の更新や、総契約期間が5年を超える場合には注意が必要です。
日本の労働契約法における「3回以上の更新」や「総契約期間が5年を超える場合」に関する規定について説明いたします。
労働契約法と無期転換ルール
2013年に改正された労働契約法には、有期労働契約の労働者の保護を目的とした「無期転換ルール」という規定があります。
無期転換の原則
2013年の労働契約法改正により、同じ使用者との有期労働契約が継続的に更新され、総契約期間が5年を超えた場合、労働者の申し出によって無期労働契約に転換することができるようになりました。これは、有期労働契約の継続的な更新を通じて、実質的に無期労働契約と同等の雇用関係が存在する場面での労働者の権利を保護することを目的としています。
3回以上の更新に関する注意
「総契約期間が5年を超える」の判断に当たっては、契約の更新回数も考慮されることが一般的です。3回以上の更新が行われている場合、その更新が形骸化しているとの指摘を受けるリスクが高まることがあります。しかし、具体的な更新回数だけが問題となるわけではありません。契約の内容、更新の状況、業務の内容など、全体的な文脈が考慮されます。
例外と注意点
一部の職種や業種では、特別な理由から5年以上の有期契約が必要とされることもあります。例えば、特定のプロジェクトの期間限定の業務や、特定の専門的な技術を要する業務などが該当します。このような場合、5年を超える有期契約を結ぶことが許容されることもありますが、その際の理由や背景を明確にすることが重要です。
まとめると、有期労働契約の更新や期間に関しては、労働契約法に基づく無期転換ルールを理解し、適切に契約を結ぶことが求められます。不明点や懸念がある場合は、椎名社会保険労務士事務所へご相談ください。