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「怒る」と「叱る」は違います 〜職場の信頼関係を築くために〜 椎名社会保険労務士事務所
職場で部下や後輩のミスに対して注意をする場面、誰しも経験があるのではないでしょうか。その際、「怒る」と「叱る」は似て非なるものです。この違いを理解し、適切な対応を取ることで、信頼関係が深まり、組織の雰囲気や成果にも良い影響をもたらします。
◆ 「怒る」は感情の発露、「叱る」は教育的行為
「怒る」は、自分の感情を抑えきれずに相手にぶつけてしまう行為です。声を荒げたり、相手を委縮させたりすることで、一時的に言うことを聞かせることはできても、信頼は失われ、次の改善にはつながりません。
一方、「叱る」は相手の成長や行動の改善を目的とした教育的な行為です。冷静に事実を伝え、なぜその行動が問題なのか、次にどうすればよいのかを具体的に示します。
◆ 怒られた部下の心の動き
「怒られた」と感じた部下は、「怖かった」「理不尽だった」「もう関わりたくない」といった感情を抱きやすくなります。その結果、報連相が滞ったり、ミスを隠すようになったりと、職場全体の信頼関係にヒビが入ります。
逆に「叱られた」と感じた場合は、「ちゃんと見てくれている」「成長を期待されている」と受け止め、前向きな改善につながるケースが多いのです。
◆ 「叱る」ための3つのポイント
感情を整理する
感情的にならず、冷静に事実を見つめ、何を伝えるべきかを明確にしてから話しましょう。
相手の立場に立つ
なぜその行動を取ったのか、背景を尋ねることで、単なる責任追及ではなく、対話の姿勢が生まれます。
未来志向で伝える
過去の失敗を責めるのではなく、「次にどうするか」「今後に活かすために何が必要か」を一緒に考える姿勢が大切です。
◆ 組織改革は「叱る文化」から
椎名社会保険労務士事務所では、組織改革や職場環境の改善に関するご相談を多くいただきます。その中でも、「感情的な指導が職場の空気を悪くしている」「叱り方がわからない」という声は非常に多いです。
まずは「怒らない」「叱る文化」を育むことから始めてみませんか?職場に笑顔と信頼が戻る第一歩となります。
◆ 最後に
「怒る」は自分のため。「叱る」は相手のため。
この違いを胸に、職場のコミュニケーションを見直すきっかけにしていただければと思います。
椎名社会保険労務士事務所では、職場での人間関係改善、管理職向けの叱り方研修なども承っております。お気軽にご相談ください。
組織改革のすすめ ~変化に対応できる強い職場づくりを~ 椎名社会保険労務士事務所
こんにちは。椎名社会保険労務士事務所です。
昨今の社会情勢や労働環境の変化により、多くの企業が「今のままではいけない」と感じ、組織改革に取り組み始めています。人口減少・人手不足、働き方の多様化、若手社員の価値観の変化…。これらに対応するためには、時代に合わせて組織のあり方そのものを見直す必要があります。
組織改革は「制度」だけでなく「風土」も見直す
組織改革というと「組織図の変更」や「人事制度の見直し」など、制度面に注目されがちですが、実際には職場の風土や文化、コミュニケーションの在り方を変えることが大きな鍵になります。
たとえば、
上司が部下を一方的に指導するのではなく、対話を通じて成長を支援する。
年功序列から脱却し、成果と成長意欲を公正に評価する。
意見を自由に出し合える風通しのよい職場をつくる。
このような風土改革なくして、制度を変えても定着しないケースが多く見られます。
よくある組織改革の失敗パターン
改革のつもりが、現場には負担増としか映らない…というケースも少なくありません。以下のような「落とし穴」に注意が必要です。
トップだけで方針を決め、現場の声が反映されない
改革の目的が曖昧で、なぜ変えるのかが伝わっていない
制度やルールだけが先行し、意識改革が追いつかない
業務改善の提案を出しても実行されないため、社員が諦めてしまう
これでは社員のモチベーションは下がり、かえって離職につながってしまう危険もあります。
小さな変化から始める「現場主導の改革」
組織改革を成功させるには、「現場の小さな変化」を積み重ねていくことが重要です。
たとえば、
「毎朝の朝礼での挨拶を笑顔で行う」
「上司が1日1回、部下の行動をほめる」
「週に1回、全体で業務改善のアイデアを出すミーティングを開く」
こうした取り組みが、職場の空気を変え、やがて組織全体の活性化につながります。
椎名社会保険労務士事務所ができること
当事務所では、企業の「組織改革」を支援するために、以下のようなご相談に対応しています。
人事制度・就業規則の見直し支援
管理職研修・組織活性化研修の実施
ハラスメント防止研修やコミュニケーション研修の企画
現場で使える「ほめる」「認める」「感謝する」文化の導入支援
変化の時代において、人が辞めない、力を発揮できる職場づくりはすべての企業の課題です。組織の「器」を整え、働く人が「この会社で頑張りたい」と思える仕組みと文化を一緒に作っていきましょう。
飲酒はプライベート?それとも業務に影響する問題? 椎名社会保険労務士事務所
お酒は本来、個人の嗜好の一つです。仕事終わりの一杯がストレス解消になるという方も多いでしょう。しかし、翌日の勤務に支障をきたすレベルの飲酒は、すでに「私生活の自由」の範囲を超えて、職場への悪影響を及ぼします。
無断遅刻・欠勤
会議中の集中力の低下
顧客対応の品質低下
同僚への負担増加
これらは、職場の信頼関係やチーム全体の生産性を損ねる深刻な問題です。
「勤務不良」としての取り扱い
勤務態度が著しく悪化した場合、企業としては「服務規律違反」や「業務命令違反」として対応せざるを得ません。特に、以下のようなケースは注意が必要です。
常習的に遅刻や早退を繰り返す
酒気帯びのまま出勤する
飲酒によってミスやトラブルを招く
就業規則に「酒気帯び勤務の禁止」や「勤務に著しい支障が生じた場合の懲戒処分」が規定されていれば、警告や注意、場合によっては減給・出勤停止などの処分も検討対象となります。
会社としてできる対応策
① 明確なルールの整備
就業規則に以下の項目を明記しましょう。
出勤前・勤務中の飲酒禁止
二日酔いによる勤務不良への対応
懲戒の対象となる行為
また、定期的に社員に対してルールの周知を行いましょう。
② 社内研修での啓発
「自分は大丈夫」と思っている人ほど、深酒のリスクに無自覚です。労務リスクとしての「酒席マナー」や「二日酔いによる事故・ミスの事例」を研修で共有することも効果的です。
③ 管理職の目配り・声かけ
管理職の方には、部下の様子の変化を見逃さず、声をかける「日常的な関心」が求められます。「昨日、飲みすぎてない?」と軽く確認するだけでも、抑止力になることがあります。
信頼は日々の積み重ね
お酒の場は人間関係を深めるきっかけになる一方で、翌日の勤務に影響するような飲み方は、信頼を一瞬で失うリスクを孕んでいます。
社員一人ひとりが「翌日の仕事にベストを尽くす」という自覚を持ち、企業側もその姿勢をサポートするルールと風土を整えることが大切です。
まとめ
深酒による勤務不良は、服務規律違反として扱われる場合があります
就業規則での明記と周知、社内啓発、管理職の対応が重要です
飲酒トラブルが生じた場合は、再発防止と適切な処分を両立させる必要があります
椎名社会保険労務士事務所では、職場のルール整備や社員教育のサポート、個別の労務トラブルへの対応アドバイスも行っております。
「最近、遅刻や体調不良の相談が増えてきた」「就業規則を見直したい」など、お悩みがあればお気軽にご相談ください。
社員の健康は会社の財産 ~健康診断の実施で安心・安全な職場づくりを~ 椎名社会保険労務士事務所
企業における人材は、最も大切な経営資源です。どれだけ高度な技術や優れた商品があっても、それを動かすのは「人」です。その「人」の健康が損なわれれば、生産性や職場の活力に大きな影響を与えます。
そこで、今回は企業が実施すべき健康診断の重要性と、労務管理上のポイントについてお伝えします。
法律で義務付けられている健康診断とは?
労働安全衛生法では、企業には従業員に対して定期的な健康診断を実施する義務があります。代表的なものは以下の2つです。
◆ 雇入時健康診断(法第66条)
新たに従業員を雇い入れる際には、必ず健康診断を行わなければなりません。これは常用・パートを問わず、週の労働時間が通常の社員の4分の3以上であれば対象となります。
◆ 定期健康診断(法第66条)
常時使用する労働者に対して、年に1回以上の定期健康診断が必要です。
健康診断の実施は「義務」だけではありません
「法律で決まっているからやらなければならない」だけではなく、企業が健康診断を積極的に実施・活用することには大きなメリットがあります。
◎ 従業員の健康管理と早期発見
定期的な健康診断によって、生活習慣病や重大な疾病の兆候を早期に把握することができます。これにより、休職や長期療養といったリスクを減らし、労務リスクの低減にもつながります。
◎ 労災との因果関係の予防
万が一、業務上の病気や過労が疑われた場合にも、健康診断の記録は大切な証拠になります。労災申請の際の判断材料としても活用されます。
◎ 社員の安心感と企業イメージの向上
「自分の健康を会社が気にかけてくれている」という意識は、社員のモチベーションの向上にもつながります。採用活動の場面でも、健康経営に取り組む企業は好印象です。
健康診断実施後のフォローも重要
健康診断を実施した後は、下記のような適切な対応が必要です。
結果通知の実施(本人に書面で)
異常所見がある場合の就業上の措置や医師による意見聴取
安全配慮義務に基づいた配置転換や労働時間調整
これらを怠ると、安全配慮義務違反とされるリスクがあります。
健康診断費用と助成制度の活用
健康診断の費用は、原則として会社負担です。中小企業にとっては大きな負担となることもありますが、協会けんぽ等の健診補助制度や、労働保険事務組合を通じた補助制度など、活用できる支援策もあります。
また、健診結果を分析して、社内の健康増進プログラム(ウォーキングイベント、食事指導など)に展開することで、「健康経営」の第一歩となります。
椎名社会保険労務士事務所からのご提案
当事務所では、以下のようなサポートを行っております。
健康診断の実施体制の整備支援
産業医の紹介や面談手配の支援
健診後の労務対応(就業措置、休職制度)の助言
健康経営優良法人認定への取り組み支援
「うちは小さな会社だから…」というお声もありますが、従業員数に関わらず一人ひとりの健康管理は企業の未来を守る鍵です。
まとめ ~健康診断は“企業の責任”であり“信頼の証”~
定期的な健康診断の実施とフォローは、企業が従業員を大切にしているという証です。ぜひこの機会に、自社の健康診断の運用方法やフォロー体制を見直してみてください。
健康で元気な社員がいる職場は、活気があり事故も少なく、チームワークも自然と育ちます。
明るく元気な職場づくりは、健康管理から始まります!
定額残業代の廃止に伴う企業の対応とは 椎名社会保険労務士事務所
~透明性と納得感ある賃金制度への見直し~
こんにちは、椎名社会保険労務士事務所です。
今回は、近年多くの企業で見直しが進んでいる「定額残業代制度の廃止」について取り上げます。
◆ なぜ定額残業代制度の見直しが必要なのか?
定額残業代(みなし残業)は、あらかじめ一定時間分の残業代を基本給とは別に支払う制度ですが、以下のような理由でトラブルが起こりやすい制度でもあります。
実際の残業時間と乖離していると未払い残業代と見なされる
説明不足により従業員の不信感を招く
労働基準監督署の是正指導対象になることがある
企業としては「計算の手間が省ける」「給与の予見性がある」などのメリットもあるものの、リスクと向き合いながら制度を維持するには限界もあるのが現実です。
◆ 定額残業代を廃止する際の対応ポイント
定額残業代を廃止するにあたっては、以下のような段階的対応が必要です。
① 社内の賃金設計の見直し
定額残業代を廃止すると、これまでの「○時間分の残業代込み給与」という仕組みは通用しなくなります。基本給と時間外手当を明確に区別し、以下のように整える必要があります。
基本給+手当(役職・通勤等)+残業代(実績に応じて計算)
残業単価の算出根拠を明確にする(割増賃金計算の基本)
② 就業規則の改定
定額残業代に関する記載を削除し、時間外労働に関する取り扱いを適切に記述する必要があります。特に以下の点は注意が必要です。
残業代の支払い基準
割増賃金の率と計算方法
36協定との整合性
※改定後は、労働基準監督署への届出もお忘れなく。
③ 労働条件通知書の修正
全従業員に対して、修正後の労働条件通知書(または雇用契約書)を交付し、署名をもらいましょう。ここでは以下の点を明示します。
基本給の内訳
残業代が別途支払われること
月給が変動する可能性(残業時間により)
④ 従業員への丁寧な説明
制度変更は従業員の生活に直結します。特に、以下の点を丁寧に説明することが重要です。
定額残業代制度をやめる理由(コンプライアンス・公正性)
今後は残業実績に応じた手当が支払われること
基本給が変わる場合、その根拠と影響
納得感のある説明が信頼関係の維持につながります。
◆ 廃止後の管理体制の強化も忘れずに
定額残業代を廃止した後は、労働時間の適正な管理がより重要になります。勤怠記録の整備、上長による残業の事前承認制など、運用面の見直しも併せて進めましょう。
◆ まとめ ~公正な制度が人材定着につながる~
定額残業代の廃止は、企業にとって一時的には手間と調整が必要ですが、公正で透明性のある賃金制度への第一歩です。
労働トラブルの防止、従業員の納得感の醸成、ひいては人材の定着にもつながります。
椎名社会保険労務士事務所では、定額残業代の廃止に伴う「就業規則改定」「労働条件通知書の作成」「従業員説明会のサポート」などを一貫してお手伝いしています。制度見直しをお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。