多くの企業では、新入社員や中途採用者に「試用期間」を設けています。
しかし、この期間を “お試し期間” と捉えるだけでは、せっかくの人材育成のチャンスを逃してしまうことがあります。
試用期間は、企業にとっても社員にとっても、スタートを整える重要な時間 です。
1.試用期間の目的は?
試用期間には、主に次の目的があります。
勤務態度・適性の確認
出勤状況、コミュニケーション、基本的な業務遂行能力などを確認します。
企業文化へのフィット確認
会社のルールや価値観に適応できるかどうかは非常に重要です。
社員側も職場を見極める期間
企業側だけでなく、働く側にとっても「ここで長く働けるか」を判断する期間となります。
2.試用期間中のトラブルを防ぐために必要なこと
① 入社時説明をしっかり行う
最低限、次の点は書面と口頭で説明しましょう。
試用期間の長さ
試用期間中と本採用後の処遇の違い
試用期間で見るポイント(勤務態度・スキルなど)
最初の説明不足が、後々の誤解やトラブルの原因になります。
② 定期的なフォロー面談を行う
試用期間は多くの場合3か月~6か月です。
「何も言わずに期間だけが過ぎる」というケースが非常に多く、不安を抱える新入社員も少なくありません。
フォロー面談では次を伝えると効果的です。
良い点
改善を期待する点
次の1か月で取り組んでほしい課題
本採用に向けた評価基準
人は“フィードバックがあれば成長しやすい”ものです。
③ 問題がある場合は早い段階で指導する
「まだ試用期間だから大丈夫」と見過ごすと、
本採用の判断が近づいたとき、不適切な評価やトラブルにつながります。
特に次の点は早めの対応が必要です。
無断欠勤・遅刻が多い
基本的なルールを守れない
業務指示に従わない
重大なミスが繰り返される
コミュニケーションが極端に取れない
指導内容は必ず記録を残すことがポイントです。
3.延長・本採用見送りの判断について
● 延長する場合
改善が期待できる場合は、1か月~3か月の延長が認められます。
ただし、就業規則に「延長できる」旨の定めが必要です。
● 本採用見送り(解雇)する場合
試用期間中でも「本採用拒否」は解雇に該当します。
したがって、
客観的で合理的な理由があること
社会通念上相当であること
指導・改善チャンスを与えた記録があること
これらが重要となります。
解雇のハードルが低くなるわけではありませんので、ご注意ください。
4.試用期間を“育成のスタート”にするために
試用期間は、企業文化を伝え、社員育成を始める最初の機会です。
挨拶
報連相
服装・マナー
基本的な仕事の流れ
人間関係のサポート
小さな成功体験を作ること
こうした「最初の3か月」の関わり方が、その後の定着率と成長に大きく影響します。
椎名社会保険労務士事務所では、
“人材教育は企業の土台” という視点から、試用期間中の指導方法や評価制度づくりをサポートしています。
まとめ
試用期間は“評価”と“育成”のバランスが大事
最初の説明、定期面談、早期指導でトラブルを防止
延長・本採用拒否には客観的理由と記録が必要
試用期間こそ企業文化を伝える絶好のチャンス
試用期間でお困りの企業さまは、ぜひ椎名社会保険労務士事務所へご相談ください。
今日もにこにこ笑顔で、良い職場づくりを進めていきましょう!