少子高齢化が加速する中、「高齢者が働き続ける社会」が現実のものとなりつつあります。60歳、65歳で定年を迎えても、まだまだ元気で働きたい、社会とつながっていたいと願う高齢者は少なくありません。そしてその思いは、企業にとっても大きなチャンスです。今回は「高齢者に活躍の場を」というテーマで、企業の視点から高齢者雇用の意義と実践のポイントについて考えてみましょう。
高齢者雇用のメリットとは?
高齢者の雇用には、企業にとってさまざまなメリットがあります。
1. 経験と知識の継承
長年の経験から培われた技術やノウハウは、企業の大切な財産です。特に製造業や建設業、小売業などでは「職人技」が若手に受け継がれることが、品質や顧客満足に直結します。高齢者は、次世代の育成において非常に重要な役割を果たします。
2. 安定した労働力の確保
若年層の労働人口が減少している現在、人材確保は多くの企業にとって深刻な課題です。高齢者は定着率が高く、まじめで安定した勤務態度が期待できます。フルタイムでなくても、週2〜3日の勤務や短時間勤務でも戦力として活躍してくれるケースは多いのです。
3. 職場の雰囲気向上
人生経験の豊富な高齢者がいることで、職場の人間関係が柔らかくなる、若手が安心して相談できる、といった声もあります。「世代間交流」が自然に生まれ、職場の風通しが良くなるのです。
雇用継続制度と定年後の選択肢
高年齢者雇用安定法により、企業には65歳までの雇用確保義務がありますが、70歳までの就業機会確保が努力義務とされています。以下のような制度の活用が有効です。
継続雇用制度の導入(再雇用)
定年後も本人の希望と能力に応じて、契約社員や嘱託職員として再雇用する制度です。
業務の見直し・再設計
体力に配慮し、負担の少ない業務への配置転換や、短時間勤務制度の導入も重要です。
技能講師・社内トレーナーとしての活躍
直接現場で働くのではなく、後進の指導やマニュアル作成などで貢献してもらう方法もあります。
高齢者が安心して働ける職場づくり
1. 年齢による差別の排除
年齢に関係なく評価され、尊重される職場風土が求められます。「年寄り扱い」ではなく、「尊敬される先輩」として接することが鍵です。
2. 健康管理と安全配慮
高齢者の健康状態や体力に配慮し、定期的な健康チェックや安全衛生教育を実施することも大切です。
3. やりがいと居場所の提供
「まだ必要とされている」という実感が、働く意欲につながります。小さな仕事でも責任ある役割を任せることで、モチベーションは高まります。
企業と高齢者、双方にとっての「活躍の場」
高齢者の活躍は、企業にとっても社会にとっても価値あるものです。人手不足に悩む中小企業こそ、柔軟な制度と温かい受け入れ体制を整えることで、大きな力を得ることができます。
椎名社会保険労務士事務所では、継続雇用制度の整備や高齢者の職場環境づくりのご相談を承っております。年齢に関係なく、誰もが輝ける職場づくりの一歩を、私たちと一緒に始めてみませんか?
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