年5日の年次有給休暇の確実な取得 年次有給休暇の時季指定をした日よりも前に退職する場合の取り扱い

働き方改革関連法の施行に伴い、年5日の年次有給休暇の確実な取得が求められるようになりました。厚生労働省は「改正労働基準法に係る疑義照会・応答事例(平成31年3月14日)」を内部資料として作成し、全国の労働基準監督署に通達しています。
 この資料の中ではいくつか注目すべき内容がありますが、その一つに会社が年次有給休暇の時季指定をした日よりも前に退職する場合の取り扱いがあり、以下のように示されています。

【疑義】
 法第39条第7項により時季指定付与したが、指定付与日までに自己都合退職などし、退職日までに全ての指定付与日が到来しない場合、退職申出から退職日までの間に、新たに時季指定を行う必要があるか。また、突然の退職等により与えるべき期間が短い場合はどうすればよいか。

【回答】
 法第39条第7項は、年5日の年次有給休暇を実際に取得させることを要するものであり、前段・後段とも、労働者の意見を(再)聴取した上で退職日までに5日の年次有給休暇を取得していただくことが原則である。(なお、実際に突然の退職等により義務を履行できなかった場合には、個別の事情を踏まえた上で、当該事業主に対して丁寧に助言等を行われたい。)

 退職者の取得状況は見落としがちですので、退職の申出があったときには年次有給休暇の取得状況を確実に確認するようにしましょう。

老齢年金 60歳繰り上げ 損益分岐

65歳支給の老齢基礎年金を繰り上げて「60歳」から受給しても、何年か後には「繰り上げ支給」をしないで65歳から受給した人に「受給総額」で追い越されます。追い越されるのは、81歳と11ヶ月になったときです。

老齢年金 繰り上げ請求

『年金繰上げで不利益? ~減額以外のデメリット』
Q.定年後の継続雇用の条件を説明している際、年金の支給繰上げの話が出ました。デメリットとして、減額の他にどういったものが考えられるでしょうか。

A.障害年金を請求できず
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」の年度別老齢年金繰上げ・繰下げ受給状況によれば、新規裁定のうち、老齢基礎年金のみの人の繰上げは減少傾向です。繰上げ請求は、老齢厚生年金と同時に行わなければなりません。
政令で年金額は1ヵ月繰り上げるごとに0.5%減額するとしているほか、障害年金などへの影響があります。たとえば、障害基礎年金は、初診日が65歳前であることが要件です。
しかし、当分の間、老齢基礎年金または老齢厚生年金の報酬比例部分が完全もしくは段階的に引き上げられる者のうち、繰り上げて受給権を有する者は、60歳以上65歳未満の初診日要件は適用されません。障害厚生年金に関しても似たような規定があります。
繰上げ請求すれば、60歳以上65歳まで国民年金の任意加入もできません。

有給休暇中の賃金

有給休暇の賃金について、労働基準法では次のとおりです。
(1) 労働基準法 第39条第7項(有給休暇の賃金を規定しています)
使用者は、第1項から第3項までの規定による有給休暇の期間又は第4項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、①平均賃金若しくは②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法第99条第1項に定める③標準報酬日額に相当する金額又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。

在職老齢年金の支給停止基準額が平成31年4月1日より変更

在職老齢年金の支給停止基準額が平成31年4月1日より変更になりました。
平成31年度の在職老齢年金に関して、60歳台前半(60歳~64歳)の支給停止調整変更額と、60歳台後半(65歳~69歳)と70歳以降の支給停止調整額については、法律に基づき以下のとおり47万円に改定されました。
なお、60歳台前半の支給停止調整開始額(28万円)については変更ありません。
平成30年度 平成31年度
60歳台前半(60歳~64歳)の支給停止調整開始額 28万円 28万円
60歳台前半(60歳~64歳)の支給停止調整変更額 46万円 47万円
60歳台後半(65歳~69歳)と70歳以降の支給停止調整額 46万円 47万円

働き方改革 年次有給休暇5日間取得

▼特別休暇を年休扱い? 記念日等に使える制度
Q 法定の年次有給休暇以外に結婚記念日や子供の誕生日に使える休暇やボランティア休暇を設け、一定の日数まで有給にしています。結構好評で、年休に優先して使われる傾向がありますが、今年度から年休を最低1年に5日取得させる義務があるため少し悩ましいところです。これらの特別な休暇を年休とみなせないでしょうか。

A時季や事由の条件課せない
 法定の年次有給休暇の他に特別の休暇制度を設けることで、労働者の健康保持や勤労意欲の向上が期待できます。こうした休暇が年休に「上乗せする」内容の休暇であれば、その取得をもって使用者が時季指定すべき年休(労基法39条7項)から控除し得ると解されます(改正労働基準法に関するQ&A)。
 ➡つまり特別の休暇について年休を取得したとみなす場合は、年休を取得した時に支払われる場合と同額かそれ以上の賃金が支払われていることが必要で、かつ取得の時季や事由を問わないものとしているため、記念日やボランティアなど一定の条件を課す休暇をそのまま年休と扱うことはできないことになります。
 たとえば特別の休暇を取得する際に、年休と合わせて連日で休暇を取ることを奨励し、年休取得を促進する等の工夫ができるかもしれません。

外国人雇用企業へ計画指導

【ニュース】
▼外国人雇用企業へ計画指導 重点対象を絞り込む――31年度・労働行政運営方針
厚生労働省は、平成31年度の地方労働行政運営方針を作成した。4月から受入れを開始した特定技能外国人の雇用管理改善に向け、地域ごとに重点指導対象事業所を選定して訪問計画を作成したうえ、優先順位に基づき行政指導を展開する方針である。外国人の労働災害を防止するため、労働基準関係法令違反に対しては、司法処分を含め厳正に対処する。施行した働き方改革関連法に関しては、労働時間改善特別対策監督官による監督指導を強化し、法令遵守を強化する。
法務省が把握する在留管理情報と外国人雇用状況届出情報が一致しない事案や事業主が同届出義務を履行していないと疑われる事案については、法務省と連携して是正を求める。
外国人労働者は、日本語や労働慣行さらに労働災害防止に関する知識が乏しいことから、災害リスクが高まるとみられる。このため、労働基準関係法令違反が疑われる特定技能外国人雇用事業所へ的確に監督指導を実施し、重大・悪質な違反に対しては司法処分を含め厳正に対処する構えである。
4月から施行した改正労働基準法(働き方改革関連)に関しては、長時間労働の是正と過重労働による健康障害防止の徹底に力を入れる。

年次有給休暇 半日単位・時間単位の年休の場合

半日単位・時間単位の年休の場合
時季指定で労働者から半日単位での年休の取得の希望があった場合には、半日単位で取得でき、取得1回につき0.5日として、その日数分を時季指定すべき年5日の年休から控除することができます。
時間単位の年休については、使用者による時季指定の対象とはならず、労働者が自ら取得した場合にも、その時間分を5日から控除することはできません。

平成31年4月改正 国民年金第1号被保険者に対する産前産後期間の保険料免除

国民年金第1号被保険者に対する産前産後期間の保険料免除
国民年金第1号被保険者の産前産後期間(出産予定日の前月から4ヵ月間。多胎の場合は出産予定月の3ヵ月前から出産予定月の翌々月までの期間)の保険料を免除し、免除期間は満額の基礎年金を保障する。産前産後免除期間は保険料納付済期間に算入され、法定免除や申請免除よりも優先される。また、死亡一時金や脱退一時金の支給要件においても保険料納付済期間となる。なお、産前産後免除期間にも付加保険料を納付でき、申出等の取り扱いはこれまでどおり。なお、国民年金に任意加入している場合は、産前産後免除に該当しない。
施行日は平成31年4月1日。

平成 31 年度の年金額改定 【老齢基礎年金額:780,100円】

1.平成 31 年度の年金額改定 【老齢基礎年金額:780,100円】
平成31年度の年金額は、法律の規定により、平成30年度から0.1%プラスで改定。物価や賃金の上昇により、4年ぶりの増加改定。少子高齢化に合わせ年金給付を抑制する「マクロ経済スライド」を発動し、増加は本来の引き上げ幅から0.5%抑えられました。
デフレなどで発動できなかった場合は翌年度以降に繰越す制度も導入されていて、平成31年度は、名目手取り賃金変動率(0.6%)から、前年度までのマクロ経済スライドの未調整分▲0.3%とマクロ経済スライドによるスライド調整率▲0.2%をまとめて差し引いた結果、改定率は0.1%となります。

主な改定は次のとおりです。
項 目 平成31年
老齢基礎年金の満額 780,100円
配偶者加給年金額 390,100円
障害基礎年金
(国民年金は1、2級) 1級:975,125円
2級:780,100円
3級:585,100円(厚生年金の最低保障額)
遺族基礎年金
(子1人の場合) 1,004,600円
国民年金保険料 月額:16,410円
厚生年金保険料率 18.300%

2.平成31年度の国民年金保険料
平成31年度の国民年金保険料は、月額1万6,410円となり、平成30年度の1万6,340円から70円の引き上げとなる。法律に規定されている平成31年度の保険料額は1万7,000円(平成16年度価格。上記の産前産後保険料免除にかかる保険料引き上げ分100円を含む)だが、これに平成16年度以降の物価や賃金の変動を反映した率(0.965)を乗じることにより、1万6,410円となる。施行日は平成31年4月1日。

3.国民年金第1号被保険者に対する産前産後期間の保険料免除
国民年金第1号被保険者の産前産後期間(出産予定日の前月から4ヵ月間。多胎の場合は出産予定月の3ヵ月前から出産予定月の翌々月までの期間)の保険料を免除し、免除期間は満額の基礎年金を保障する。産前産後免除期間は保険料納付済期間に算入され、法定免除や申請免除よりも優先される。また、死亡一時金や脱退一時金の支給要件においても保険料納付済期間となる。なお、産前産後免除期間にも付加保険料を納付でき、申出等の取り扱いはこれまでどおり。なお、国民年金に任意加入している場合は、産前産後免除に該当しない。
施行日は平成31年4月1日。