~信頼関係を壊さず成長を促す指導のために~
社員の育成や職場の秩序を保つうえで、「指導」は欠かせない行為です。しかし、同じように見える「叱る」と「怒る」には大きな違いがあります。対応を誤ると、職場の雰囲気を悪化させたり、社員のやる気を奪ったりする可能性もあるため、違いをしっかり理解しておくことが重要です。
今回は、「叱る」と「怒る」の違いについて、企業の皆さまにわかりやすくご紹介いたします。
■「叱る」とは、相手の成長を願う行為
「叱る」とは、相手の行動や態度に対して冷静かつ建設的に伝え、改善を促す行為です。目的はあくまで、本人の成長や職場全体の秩序を守ることです。
たとえば、
「遅刻が続いているけど、体調は大丈夫? 周囲にも影響が出ているから、一緒に改善策を考えよう」
「報告が遅れてしまったね。次はどのように対応すればよいか、一緒に振り返ってみよう」
といった声かけが「叱る」に該当します。ポイントは、「人格否定をしない」「感情的にならない」「改善の余地を伝える」ことです。
■「怒る」とは、自分の感情を相手にぶつける行為
一方、「怒る」は自分の感情を爆発させる行為であり、相手を委縮させたり、萎縮させたりするだけで終わることが多くなります。
「何回言えばわかるんだ!」
「お前にはもう任せられない!」
といった言葉は、相手を追い詰めるだけで、改善にはつながりません。怒られた社員は「なぜ怒られたのか」よりも、「怖かった」「理不尽だった」という感情が残り、信頼関係が損なわれてしまいます。
■「叱る力」が職場の雰囲気を変える
指導の際に「叱る」と「怒る」を区別することで、職場の空気は大きく変わります。
社員が安心して相談できる環境が整う
ミスの共有がスムーズになり、再発防止につながる
上司と部下の信頼関係が築かれる
特に若手社員にとっては、「叱ってくれる上司」は成長の糧となる存在です。厳しさの中にも温かさがある指導は、人材育成において欠かせません。
■まとめ:叱る力=信頼を築く力
「叱る」は、相手を大切に思うからこその行為です。感情に任せて「怒る」のではなく、冷静に相手の行動と向き合い、次にどうすればよいかを一緒に考える――その姿勢が信頼を生み、組織力を高めます。
椎名社会保険労務士事務所では、社員指導や人材育成に関するご相談も承っております。職場のコミュニケーション改善や管理職研修にご興味がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。