こんにちは、椎名社会保険労務士事務所です。
今回は、職場の人材育成や行動改善に役立つ「強化の原則」と「弱化の原則」について解説いたします。これは心理学に基づいたシンプルかつ実践的な考え方で、職場での指導やコミュニケーションに大きな効果をもたらします。
■ 強化の原則とは
強化の原則とは、ある行動の直後に「快(うれしいこと)」を与えることで、その行動の頻度が高まるという法則です。たとえば、以下のような場面です。
部下が良い提案をした → 「いい視点だね、ありがとう!」と褒める
新人が報告・連絡・相談をした → 「報告してくれて助かったよ」と感謝を伝える
これにより、「提案をすること」「報連相をすること」がその人にとって“良いこと”となり、次も行動しようという意欲が生まれます。
ポイント:具体的な言葉で、すぐにフィードバックを伝えることが効果的です。
■ 弱化の原則とは
一方で弱化の原則は、ある行動の直後に「不快(嫌なこと)」を与えることで、その行動の頻度が減るという法則です。たとえば、
ミスを繰り返す社員に対し、厳しい口調で叱責をする
遅刻した社員にペナルティを課す
このように“行動の後に不快な結果”があると、人はその行動を避けようとします。
ただし、行き過ぎた弱化(過度な叱責や無視など)は逆効果となり、関係悪化やモチベーション低下につながる恐れもあります。
■ 職場で活かすコツ
まずは「強化」を基本に
行動が変わるためには、まず良い行動を見逃さず「ほめる」「感謝する」などのポジティブな対応を積み重ねましょう。
弱化は“冷静に、適切に”使う
ルール違反や問題行動があった際は、感情的にではなく、「なぜそれが問題なのか」「どうすればよいのか」を冷静に伝えることが重要です。
“望ましい行動”を明確に伝える
強化も弱化も、相手に“何が良くて、何が望ましくないか”が伝わっていなければ意味がありません。行動基準を共有し、対話を重ねることが肝心です。
■ 最後に
人は「良い結果が返ってくる」ことで行動が続き、「嫌な結果が返ってくる」ことで行動をやめます。このシンプルな原則を理解し、職場に活かすことで、より良い人間関係・組織風土が生まれていきます。
椎名社会保険労務士事務所では、こうした心理学や行動科学に基づく人材育成・コミュニケーション研修のご相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。