定額残業手当の正しい理解とトラブル防止のポイント 椎名社会保険労務士事務所

企業の中には、「残業代をあらかじめ給与に含めて支払っている」という理由で「定額残業手当」を導入しているところも多くあります。しかし、制度の仕組みを正しく理解していないと、思わぬ労務トラブルや是正勧告につながることもあります。

■ 定額残業手当とは

定額残業手当とは、あらかじめ一定時間分の残業代を固定額として毎月支給する制度です。
たとえば、「月20時間分の残業手当として○○円を支給」と定めておくことで、残業が20時間以内なら追加の支払いは不要という考え方です。

しかし、実際の残業時間が定額分を超えた場合には、超過分を別途支払う必要があります。
また、「基本給と定額残業手当の区分が明確であること」が非常に重要です。曖昧なまま支給すると、後に「残業代が適正に支払われていない」と判断されるケースもあります。

■ 就業規則・賃金規程の明記が必須

定額残業手当を導入する場合は、
・対象となる職種・役職
・みなし残業時間数
・定額残業手当の金額
・超過分の計算方法
などを就業規則や賃金規程に明確に記載する必要があります。
労働基準監督署の調査では、こうした根拠が不十分だと是正勧告の対象となることもあります。

■ トラブルを防ぐために

トラブルを防ぐためには、次の点を押さえましょう。

実際の残業時間を正確に記録する

超過分は必ず追加支給する

定額残業手当の根拠と内訳を労働条件通知書に明示する

年に一度は妥当性を見直す

「定額」とはいえ、実際の労働時間を無視することはできません。
働き方改革の流れの中で、透明性と公正性の高い賃金管理が求められています。

■ 椎名社会保険労務士事務所より

当事務所では、定額残業手当の適正な設計や見直し、就業規則への明記方法、労働条件通知書の記載内容などについて、企業様の実態に合わせたサポートを行っています。
「うちの定額残業手当は大丈夫かな?」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。

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