死亡一時金は、第1号被保険者として保険料を納めた月数(4分の3納付月数は4分の3月,半額納付月数は2分の1月,4分の1納付月数は4分の1月として計算)が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなった時、その方によって生計を同じくしていた遺族(1・配偶者、2・子、3・父母、4・孫、5・祖父母、6・兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)に支給されます。
死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて120,000円~320,000円です。
付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、8,500円が加算されます。
遺族が、遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されません。
寡婦年金を受けられる場合は、どちらか一方を選択します。
死亡一時金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年です。
遺族厚生年金の支給要件
1.被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。)
※ただし令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
2.老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
3.1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。
年金請求 寡婦年金
第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上(注)ある夫が亡くなった時に、10年以上継続して婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳になるまでの間支給されます。
年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3。
亡くなった夫が、障害基礎年金の受給権者であった場合、老齢基礎年金を受けたことがある場合は支給されません。
妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合は支給されません。
働き方改革 年次有給休暇5日間
―年5日の年休の確実な取得―
2019年4月から、全ての企業において、年次有給休暇(以下、年休)の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。
1.対象者
法定の年休が10日以上付与される労働者(管理監督者、比例付与のパート労働者等を含む)です。
前年度から繰り越した年休の日数は含まず、当年度に付与される法定の年休の日数が10日以上である労働者が義務の対象です。
2.年5日の時季指定義務
使用者は、労働者ごとに、年休を付与した日から1年以内に5日について、取得時季を指定して年休を取得させなければなりません(改正労基法39条7項)。
2019年4月1日以後、最初に年10日以上の年休を付与する日から、確実に取得させる必要があります。※前倒し付与の場合の取扱については解説を省略します。
3.時季指定の方法
使用者による時季指定にあたっては、労働者の意見を聴取しなければなりません(面談、年休取得計画表、メール、システムを利用した意見聴取等、任意の方法による)。
また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません(改正労基則24条の6)。
4.時季指定を要しない場合
「使用者による時季指定」、「労働者自らの請求・取得」、「計画年休」のいずれかの方法で年5日以上の年休を取得させれば足りますので、これらいずれかの方法で合計5日に達した時点で、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません(改正労基法39条8項)。
なお、繰越し分の年休を取得した場合には、その日数分を時季指定すべき年5日の年休から控除できます。
5.就業規則への規定、年休管理簿
使用者による時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲および時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません(労基法89条)。
労働者ごとに、時季、日数および基準日を明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作成し、3年間保存しなければなりません(改正労基則24条の7)。なお、労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができます。
6.半日単位・時間単位の年休の場合
時季指定で労働者から半日単位での年休の取得の希望があった場合には、半日単位で取得でき、取得1回につき0.5日として、その日数分を時季指定すべき年5日の年休から控除することができます。
時間単位の年休については、使用者による時季指定の対象とはならず、労働者が自ら取得した場合にも、その時間分を5日から控除することはできません。
▼働き方改革 努力義務化は目前!? 70歳までの就業機会確保
継続雇用制度 高齢者積極活用めざせ 従来型は再考が必要に
賃金減額が意欲削ぐ
現在、8割超の企業は高年齢者雇用安定法が求める選択肢のなかで定年廃止や65歳以上への定年延長ではなく、上限を65歳以上(65歳も可)とした継続雇用制度導入を選択している。企業にとって負担が一番軽いと考えてのことである。
圧倒的多数の企業で実際に行われている継続雇用とは以下のような特徴を持つ。
・年金支給開始年齢までの制度
・希望者全員が対象
・1年更新
・それまでの仕事を継続
・役職は離脱
・賃金は定年前より大きく減少
・フルタイム勤務が前提
・人事考課実施企業は約半数
企業にとってはこの形での継続雇用は法律に則ったものであり、一方で再雇用される高齢者の賃金は定年前の年功賃金とは別体系ながら、従来とほぼ変わらぬ仕事をしてもらえるというメリットがある。とはいえ良いことづくめではない。本来は定年で雇用関係を解消したかった者まで抱え込むこともある。残業をあまり求めることができないなど高齢者を活用しづらい部分もある。
働く側の高齢者にとってもメリットとデメリットがある。60歳定年後は年金支給開始まで数年を待たねばならないが、継続雇用はその間の貴重な収入源で生活保障になる。 しかしながら賃金が低くなることで「今までと仕事の内容は変わらないのに大きく収入が減った」と落胆することもある。役職から離れれば年下の上司の下で働くことになって人間関係にも苦労する。人事考課がなければがんばってもがんばらなくても収入は同じであり、がんばる高齢者ほど意欲が阻害される。
慢性的に人手不足の中小企業では継続雇用制度が効果を発揮しているようであるが、大企業ではそうであるとはいい難い。そもそも企業の側に高齢者を積極的に活用して戦力にしようとの熱意があるようには思えない。法律で求められているからとりあえず最小限の負担で済まそうとしている企業が多いのではなかろうか。政府が「70歳までの就業機会確保」を推進している現在、従来型の継続雇用は再考を求められよう。
社会保険 随時改定
1.『随時改定で端数処理は 定期代3カ月分へ変更』
Q.当社では、定期代の支給方法を1カ月単位から3カ月単位に変更しました。随時改定の対象者が出たため、月当たりの額を出すと円未満の端数が出ます。どのように処理すべきでしょうか。
A.総支給額割り振る
3カ月または6カ月ごとに支給される通勤手当は「報酬」となり、月額に換算して報酬に含めます。日本年金機構疑義照会では、以下のように取り扱うとしています。まとめて支給された手当等を月数で除し各月の報酬に算入する場合、原則は、切り捨てます。
ただし、定時決定、随時改定において3カ月間に受けた報酬の総額自体を使用する必要がある場合には、総額が変動してしまうと等級に影響を及ぼす可能性があります。この場合には、端数を「原則支給月に算入」するとしています。
3カ月の定期代1万円が支給された例では、すべての月を切り捨てると9999円になってしまうため、支給月を3334円、その他の月を3333円として調整しています。6カ月定期代を支給して、期間が定時決定の基礎となる4月以降の一部を含むときには、切捨てという例も示されています。随時 改定があった場合も同様でしょう。
無期契約転換
積極的に無期契約転換を
KLMオランダ航空の客室乗務員3人が労働契約法第18条に基づき同社に無期雇用契約への転換を申し込んだところ、拒否されて雇止めとなる事件が発生した。東京地裁は、これを同法違反とみなし無期転換を命じたという。同社は、最近になっても客室乗務員を次々に雇止めし、この結果、29人の労働者が撤回を求める訴訟を起こしている。
民事上の規範として「無期転換ルール」が定められた以上、これに従わないと法違反のブラック企業と烙印を押されてしまう。社内訓練は契約期間に入らないとの同社の主張も通用しない理屈である。
有期契約労働者の雇用安定と処遇アップおよび人材の有効活用は、一企業の枠に留まらず社会全体にとっての重要な課題となっている。使用者は、無期転換ルールの適用回避を画策するのではなく、積極的に有期契約労働者の雇用安定をめざす方向に意識転換してもらいたい。
KLMオランダ航空事件では、就業前に9週間の訓練を実施した後、3年間の有期労働契約、その後2年間の契約更新をしたため、訓練期間を通算して契約期間5年が経過。このため客室乗務員が無期転換を申し入れたが、同社は「訓練は労働契約期間に通算しない」と主張し、無期転換に応じず雇止めとした。
客室業務に不可欠な訓練期間であればどう考えても実質上労働の一環であり、労働契約期間内との解釈を免れることはできない。訓練を受けなければ業務に支障が生じる可能性があり、就労の前提条件となっていることは明らか。
同社に限らず使用者としては、無期転換ルールの適用回避を無駄に画策すべきではない。短期の有期契約に基づく不安定雇用の縮小は、いまや社会的要請である。5年近く長期間就労し、一定程度戦力化している労働者をそのまま無期転換しても支障とならないばかりか、人手不足を考慮すると必要な取組みといえるだろう。
今後、無期転換拒否と雇止めに対する裁判所の判決が増加すると見込まれるが、多くが使用者に厳しい判断となるかもしれない。
4割で違法残業発覚 長時間労働事業場へ監督――厚労省
長時間労働が疑われる事業場に対する平成30年度の監督指導結果を公表します
厚生労働省では、このたび、平成30年度に、長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめましたので公表します。
この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。
対象となった29,097事業場のうち、11,766事業場(40.4%)で違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行いました。なお、このうち実際に1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、7,857事業場(違法な時間外労働があったもののうち66.8%)でした。
厚生労働省では、今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行います。
【平成30年4月から平成31年3月までの監督指導結果のポイント】
(1) 監督指導の実施事業場:29,097事業場
このうち、20,244事業場(全体の69.6%)で労働基準関係法令違反あり。
(2) 主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
① 違法な時間外労働があったもの:11,766事業場(40.4%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの: 7,857事業場(66.8%)
うち、月100時間を超えるもの: 5,210事業場(44.3%)
うち、月150時間を超えるもの: 1,158事業場( 9.8%)
うち、月200時間を超えるもの: 219事業場( 1.9%)
② 賃金不払残業があったもの:1,874事業場(6.4%)
③ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:3,510事業場(12.1%)
(3) 主な健康障害防止に関する指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
① 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:20,526事業場(70.5%)うち、時間外・休日労働を月80時間※以内に削減するよう指導したもの: 11,632事業場(56.7%)
※ 脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるため。
② 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,752事業場(16.3%)
働き方改革 健康診断
『健診2回実施するか? 雇入後に「定期」の時期』
Q.当社の定期健康診断のスケジュールは、毎年秋ごろです。このたび、中途採用した正社員ですが、雇入時と定期健診の関係はどのようになるでしょうか。両方とも実施ということになるのでしょうか。
A.雇入時を行い省略
雇入時健康診断は、入社後の適正配置や健康管理の資料として役立てることが目的の健康診断です。そのため、入社後すぐに定期健診をするからといって、雇入時健診を省略することはできません。なお、雇入前3カ月以内に健診を受け、その結果を証明する書面を提出したときは、その健診と同じ項目については、雇入時健診を省略することができます。
一方、雇入時健診を実施してから、1年以内に実施される定期健診は、省略することができます。雇入時健診を実施して、定期健診を省略する流れです。両者の健診項目を条文上で比較すると、「かくたん検査」の有無が相違していますが、健診項目の省略基準が定められていて、X線検査で異常のない者等について、医師の判断で省略が可能とされています。
働き方改革 高齢者の安全・健康で新助成金 70歳雇用拡大に向け――厚労省
厚生労働省は令和2年度、中小企業における高年齢労働者の安全・健康対策を支援する助成金を新設する方針である。高年齢者が個々の特性に応じた能力を発揮し、安心して活躍できる環境を整備する考え。調査によれば、65歳以上の従業員の雇用確保に向け国に求める支援として、約53%の企業が「人件費等の経費援助」を挙げている。厚労省が今後まとめるガイドラインに沿った取組みを実施する企業に最大100万円を助成する予定とした。
わが国においては、少子・高齢化が進展する一方で、高年齢者雇用安定法により高年齢者の雇用確保措置が義務付けられていることから、労働者の高年齢化が一層進むとみられる。このため、「経済財政運営と改革の基本方針2019」(令和元年6月21日閣議決定)では、とくにサービス業で増加している高年齢労働者の労働災害防止のための取組みを強化する方針を打ち出している。
厚労省では同閣議決定などを受けて、令和2年度に高年齢労働者の安全・健康確保対策を積極化させる企業に対する支援策として、助成金を新設する方針を明らかにした。安全・健康確保対策に関するハード・ソフト両面の支援に加え、先進的取組みに対する奨励を行う意向である。
厚労省の「労働者死傷病報告」によると、小売業、社会福祉施設、飲食店などの第三次産業(サービス業)が占める割合が過去10年間で7ポイント(40%⇒47%)増加し、死傷災害全体の約半数に達している。
年齢別では、60歳以上の高年齢労働者が被災する割合が、過去10年間で8ポイント(18%⇒26%)増加し、死傷災害全体の約4分の1を占めた。「50歳以上」に年齢を下げると、全体の半数を超えている。
新設する助成金では、サービス業で働く高年齢労働者に多い転倒災害などの防止のために、滑りにくい床や手すりの設置などを行った中小企業に対して経費の2分の1、1件当たり100万円を上限に支給する見込み。
健康確保に関しては、高血圧対策の充実に向けた管理強化や要員確保、さらに介護分野などで問題となっている腰痛対策としての「ノーリフト」機器の導入に対して助成する。安全対策確立のための先進的研究や検証に取り組む大手企業なども助成対象とする方針だ。
厚労省では現在、高年齢労働者の特性に配慮した効果的な安全衛生教育のあり方、労働災害防止に向けた安全対策および健康確保対策について、改めて専門的検討をスタートさせている。12月までに検討結果をガイドラインとしてまとめる。