パワハラ措置義務、大企業2020年、中小企業2022年施行へ

厚生労働省の労働政策審議会雇用環境・均等分科会(分科会長=奥宮京子・弁護士)は2月14日、職場のパワーハラスメントに関して事業主に雇用管理上の措置義務を設ける労働施策総合推進法の一部改正等を盛り込んだ法律案要綱をおおむね妥当と認め、労政審の答申とした。同省は今通常国会に法律案を提出する方針で、施行は公布日から1年以内の政令で定める日。中小企業に対しては公布日から3年以内の政令で定める日まで努力義務とする経過措置を設ける。
新たに事業主に求められるのは、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること(職場のパワーハラスメント)のないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備。具体的な措置の内容等については、法律案成立後に検討される指針で示される予定だ。このほか、労働者が相談等を行ったことを理由とする不利益取扱いの禁止や、紛争解決の援助および調停制度、助言・指導等の履行確保措置も法制化する。
セクシャルハラスメントにかかる男女雇用機会均等法も改正し、労働者が相談等を行ったこと等を理由とする不利益取扱いを禁止する。他社の従業員からセクハラを受けた場合など、他の事業主から雇用管理上の措置の実施に関して必要な協力を求められた場合に応じるよう努める義務も課す。なお、不利益取扱いの禁止の規定は、妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメント(マタニティーハラスメント)にも適用するため、育児介護休業法も改正する。施行は公布日から1年以内の政令で定める日の予定だ。