近年、顧客や取引先などからの著しい迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対応が、企業にとって重要な労務管理上の課題となっています。
「お客様だから仕方がない」
「多少のことは我慢しなければならない」
このような考え方では、従業員を守ることが難しくなってきています。
正当なクレームとカスハラは違います
商品やサービスに問題があれば、顧客から苦情や改善要求を受けることは当然あります。
企業としても、正当な意見や要望には誠実に対応する必要があります。
一方で、暴言、威圧的な言動、長時間の拘束、繰り返しの要求、土下座の要求、SNSへの投稿を利用した脅しなど、社会通念上許容される範囲を超える行為まで従業員が我慢する必要はありません。
大切なのは、**「クレームには適切に対応する。しかし、カスタマーハラスメントからは従業員を守る」**という会社の姿勢を明確にすることです。
カスハラ対策を個人任せにしない
カスハラが発生したときに、
「担当者がうまく対応してください」
では、従業員に大きな負担がかかります。
特に経験の浅い社員の場合、どこまで対応すればよいのか、いつ上司に相談すればよいのか判断できず、一人で抱え込んでしまうことがあります。
そのため企業では、あらかじめ対応ルールを決めておくことが重要です。
例えば、
・どのような行為をカスハラと判断するのか
・担当者が対応する範囲
・上司へ報告するタイミング
・対応を打ち切る基準
・警察や弁護士など外部機関と連携する場合
・被害を受けた従業員へのフォロー
・社内の相談窓口
などをマニュアルとして整理しておくことで、現場の従業員も安心して対応できます。
「会社が守ってくれる」という安心感
カスハラ対策で最も大切なのは、会社から従業員に対して、
「困ったときは一人で対応しなくてよい」
というメッセージを伝えることだと考えます。
お客様を大切にすることと、従業員を大切にすることは決して矛盾するものではありません。
むしろ、安心して働ける環境があってこそ、従業員はお客様に対して笑顔で、質の高いサービスを提供することができます。
これからは「事前の準備」が重要です
カスタマーハラスメントは、実際に問題が起きてから対応方法を考えるのでは遅い場合があります。
会社としての基本方針を定め、相談窓口を設置し、対応マニュアルを作成し、管理職や従業員への研修を行う。
こうした事前の準備が、従業員を守ることにつながります。
椎名社会保険労務士事務所では、カスタマーハラスメント対策方針の作成、従業員アンケート、相談窓口の整備、対応マニュアルの作成、就業規則の見直し、管理職・従業員研修など、企業の実情に合わせたカスハラ対策を支援しています。
「何から始めればよいかわからない」という企業様も、まずは現在の対応状況を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
従業員を守る姿勢を明確にすることが、安心して働ける職場づくりの第一歩です。
椎名社会保険労務士事務所