最近、企業から「従業員から副業をしたいと相談されたのですが、認めても大丈夫でしょうか」というご相談を受けることがあります。
働き方が多様化するなか、副業・兼業を希望する方も増えています。厚生労働省のガイドラインでは、勤務時間外の時間をどのように利用するかは基本的に労働者の自由であるという考え方を踏まえ、副業・兼業を希望する労働者が幅広く取り組める環境を整備することが重要とされています。
「全面禁止」ではなくルールづくりを
会社として大切なのは、副業を単純に「禁止する」「自由にする」ということではありません。
例えば、
本業に支障が出ないこと
会社の秘密情報を漏らさないこと
会社と競合する仕事ではないこと
長時間労働によって健康を害さないこと
副業を始める前に会社へ届け出ること
などのルールを就業規則に定めておくことが重要です。
厚生労働省のモデル就業規則でも、副業・兼業を認めることを基本としながら、労務提供上の支障、企業秘密の漏えい、信用を損なう行為、競業による企業利益の侵害などがある場合には、禁止・制限する考え方が示されています。
特に注意したい「労働時間」
副業先でも「雇用される」場合には、労働時間の管理にも注意が必要です。
原則として、本業と副業先の労働時間を通算して考える必要があります。そのため会社は、従業員からの申告などにより副業先での労働時間を確認し、長時間労働になっていないかを把握することが大切です。
「本業は8時間だから問題ない」と考えるのではなく、副業を含めた働き方全体を見て、従業員の健康確保につなげていく必要があります。
副業を認めるなら「届出制」も一つの方法
実務上は、「副業は原則禁止」とするよりも、一定の条件を定めたうえで、事前に会社へ届け出てもらう制度を設ける方法が考えられます。
副業先の会社名、仕事内容、勤務日、勤務時間などを確認し、本業への影響や健康面、秘密保持、競業の問題がないかを確認します。
副業は、従業員にとって収入の確保だけでなく、新しい知識や経験を得る機会にもなります。一方、会社にとっては労働時間管理や情報管理など、新たな労務管理が必要になります。
「副業を認めるか」だけではなく、「どのような条件で認めるか」を決めておくことがポイントです。
椎名社会保険労務士事務所では、副業・兼業に対応した就業規則の見直しや、副業許可・届出制度の整備についてもご相談を承っております。
副業の相談があってから慌てるのではなく、あらかじめ会社のルールを整えておきましょう。