職場づくりについてご相談を受ける中で、よく耳にする言葉の一つが**「風通しの良い職場にしたい」**というものです。
では、風通しの良い職場とは、どのような職場でしょうか。
単に社員同士の仲が良い職場ということではありません。
私は、**「立場に関係なく、必要なことを安心して話すことができる職場」**ではないかと思います。
上司に相談したいことがあっても、「忙しそうだからやめておこう」「こんなことを言ったら怒られるかもしれない」と社員が考えてしまう職場では、問題が表面に出てきません。
その結果、小さな問題が大きな問題になってから会社が気づく、ということもあります。
「話せる雰囲気」が会社を守る
労務管理の問題では、早い段階で相談があれば対応できたのに、問題が大きくなってから相談を受けるケースが少なくありません。
例えば、
「最近、仕事の負担が大きくなっている」
「職場の人間関係で悩んでいる」
「この仕事の進め方を変えた方がいいのではないか」
「上司の指示について確認したいことがある」
こうした社員の声が早く会社に届けば、会社としても対応することができます。
反対に、「言っても仕方がない」「言ったら自分が損をする」という雰囲気があると、社員は次第に何も言わなくなります。
社員が何も言わないことと、問題がないことは同じではありません。
むしろ、何も言えない職場ほど注意が必要なのかもしれません。
管理職の「聞く姿勢」が大切
風通しの良い職場づくりで重要な役割を担うのが、経営者や管理職です。
社員から相談や意見があったときに、最初から否定してしまえば、社員は次から話さなくなります。
「それは無理だよ」
「今までこの方法でやってきた」
「そんなことを考える暇があったら仕事をして」
このような言葉が続けば、社員は提案することを諦めてしまいます。
もちろん、社員から出された意見をすべて採用する必要はありません。
大切なのは、まず話を聞くことです。
「そういう考え方もあるね」
「気づいてくれてありがとう」
「提案してくれてありがとう」
こうした一言があるだけでも、社員は「また話してみよう」と思うことができます。
「褒める・認める・感謝する」
私は研修などでも、**「褒める・認める・感謝する」**ことの大切さをお話ししています。
良い仕事をしたら褒める。
努力している姿を認める。
協力してもらったら感謝する。
特別な制度や大きな費用がなくても、日々のコミュニケーションの中で実践することができます。
そして、もう一つ大切なのが挨拶です。
「おはようございます」
「ありがとうございます」
「お疲れさまでした」
毎日の何気ない言葉の積み重ねが、話しやすい職場の土台になります。
笑顔で挨拶を交わす職場では、ちょっとした相談や声掛けもしやすくなります。
社員の意見を会社の力に変える
風通しの良い職場になると、社員からさまざまな意見が出てくるようになります。
「この作業は、こうした方が効率的ではないでしょうか」
「ここは危ないので改善した方がいいと思います」
「お客様からこんな意見がありました」
現場で働いている社員だからこそ気づくことがあります。
その小さな気づきを会社が拾い上げることが、業務改善、生産性向上、安全対策、さらには人材定着につながっていきます。
社員が会社のことを考え、自分の意見を出してくれることは、会社にとって大きな財産です。
風通しの良い職場は一日ではできない
「今日から風通しの良い会社にします」と宣言しただけで、職場が変わるわけではありません。
経営者や管理職が社員の話を聞き、社員の行動を認め、必要な情報を共有する。
そして社員も、お互いを尊重しながら必要なことを伝える。
こうした小さな積み重ねによって、少しずつ職場の雰囲気は変わっていきます。
まずは今日、職場で会った人に**笑顔で「おはようございます」**と声を掛けるところから始めてみてはいかがでしょうか。
そして、誰かが何かをしてくれたら、
「ありがとう」
と伝えてみる。
その一言が、風通しの良い職場づくりの第一歩になると思います。
椎名社会保険労務士事務所では、就業規則の整備、人事評価制度、管理職研修、社員研修、ハラスメント対策などを通じて、社員が安心して意見を言い、一人ひとりが力を発揮できる職場づくりを支援しています。
「何でも言える職場」ではなく、「必要なことを安心して言える職場」へ。
社員の声を大切にすることから、より良い会社づくりを始めてみませんか。