平成29年度の協会けんぽの保険料率改定

平成29年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます。
なお、任意継続被保険者の方は4月分(4月納付分)からの変更となります。
千葉県は、9.89%(現行9.93%)となり、各県ごとの保険料率は、協会けんぽHPでご確認ください。
また、介護保険料率は全国一律で、1.65%(現行1.58%)

※給与計算される場合は、控除月にご注意ください。

死亡一時金

死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときは、その方と生計を同じくしていた遺族(1配偶者2子3父母4孫5祖父母6兄弟姉妹の中で優先順位が高い方)が受けることができます。

•死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて120,000円~320,000円です。
•付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、8,500円が加算されます。
•遺族が、遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されません。
•寡婦年金を受けられる場合は、どちらか一方を選択します。
•死亡一時金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年です。

厚生年金・健康保険の加入対象拡大

H29年4月1日より、従業員500人以下の勤務先で、会社と従業員の合意(従業員の2分の1以上の合意)がなされれば、次の要件をすべて満たす従業員は社会保険に加入できるようになります。
【適用要件】
①1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上
②1か月あたりの決まった賃金が88,000円以上
③雇用期間の見込みが1年以上
④学生でないこと

なお、既に大企業(従業員501人以上)では、H28年10月1日から実施されています。

労災保険法の通勤災害保護制度の改正概要

労災保険法では、労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡については、通勤災害として保険給付の対象としていますが、労働者が移動の経路を逸脱・中断した場合においては、当該逸脱・中断の間および合理的な経路に復帰後の移動は原則として通勤には含まれません。
ただし、逸脱・中断が「日常生活上必要な行為」に該当する場合には、合理的な経路に復帰後の移動は通勤に含まれます。
労災保険法施行規則では、「日常生活上必要な行為」について、一定の家族の介護を認めており、当該家族は育児・介護休業法の対象家族と同じ範囲で規定。
H29年1月の育児・介護休業法の改正に伴い、介護等の対象家族が拡大されたことを踏まえ、「日常生活上必要な行為」に該当する介護の対象家族の範囲も同様に取り扱われることとなり、「同居、かつ、扶養」の要件が撤廃されました。

24時間働けますか  ブラック企業

「24時間働けますか」、「モーレツ社員」などは昭和期に使われた言葉であり、現在では「ブラック企業」「社畜」などと言われ、世の中の労働時間に対する意識が変化してきました。しかし、企業の中では依然とした経営優先体質、人は使い捨て、痛ましい自殺事件等が報道されています。
労働時間は、特別条項付であければ実質何時間でも可能とした制度であり、政府は36協定の上限時間を月60時間とする検討に入りました。
この他、睡眠時間の確保や疲労蓄積を防ぐ観点からは、1日単位の休息期間を確保するインターバル規制も重要な考え方であり、各企業自らがこれを検討すべきです。
また、精神疾患を発症したのは長時間労働や上司・同僚のパワハラ・セクハラを主張して損害賠償請求されるケースもあります。
長時間労働やパワハラ・セクハラが原因となって労働者が精神疾患を発症した場合、使用者は安全配慮義務違反(労契法5条,民法415条)、使用者責任(民法715条)を問われ、損害賠償義務を負うことがあります。

遺族基礎年金の支給要件

【支給要件】
被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。(ただし、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上あること)ただし平成38年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。

【対象者】
死亡した者によって生計を維持されていた、
(1)子のある配偶者 (2)子 
 子とは次の者に限ります
•18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
•20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子

【年金額】H28.4~
780,100円+子の加算
 子の加算 第1子・第2子 各 224,500円
 第3子以降 各 74,800円

長時間労働がもたらす影響

電通事件をはじめ、最近では長時間労働が問題となっています。長時間労働は心や体に深刻な影響をもたらします。睡眠時間が削られ慢性的な睡眠不足になり、体は疲労やストレスの影響を受けやすくなります。厚生労働省による「業務による心理的負荷評価表」では長時間労働に対して一定の基準を定めています。

【労災認定される長時間労働】
①うつ病などの精神疾患の発病前1カ月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合、直前3週間以内におおむね120時間以上の時間外労働を行った場合を「極度の長時間労働」としています。
②うつ病などの精神疾患の発病前2カ月間に連続して120時間以上の時間外労働を行った場合、直前3カ月間におおむね100時間以上の時間外労働を行った場合を「出来事としての長時間労働」としています。
③転勤や配置換え、昇進などで新たな環境の中業務に従事し、その後月100時間程度の時間外労働を行った場合を「他の出来事と関連した長時間労働」としています。
この基準はすべて労災認定の際に心理的負荷の大きさを示す評価で「強」となるものです。

在職老齢年金の支給停止基準額 47万円から46万円に引き下げ(平成29年4月より)

先日、厚生労働省から平成29年度の年金額改定に関する発表がありました。これに合わせて、在職老齢年金の支給停止となる基準額も変更になります。
 在職老齢年金は、70歳未満の方が厚生年金保険に加入している場合や、70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所に勤務している場合には、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の全部または一部が支給停止となる仕組みです。
支給される老齢厚生年金等の月額(基本月額)と総報酬月額相当額により年金額が調整され、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が高くなるにつれて、支給停止額も高くなります。このうち、支給停止額の計算の基礎となる額の一つが平成29年4月1日より変更になることが発表されました。
 平成29 年度の在職老齢年金に関して、60 歳台前半(60 歳~64 歳)の支給停止調整変更額と、60 歳台後半(65 歳~69 歳)と70 歳以降の支給停止調整額については、法律に基づき46 万円に改定されます。なお、60 歳台前半の支給停止調整開始額(28 万円)については変更ありません。
この改定により、従来と同じ額の老齢厚生年金等や総報酬月額相当額であっても、調整される額が大きくなるため、年金の支給停止額が大きくなる人が出てくることになります。対象となるお客様から問い合わせがあるかも知れませんので、その内容を事前に確認してきましょう。

障害基礎年金の受給要件

障害基礎年金の受給するには、次の3つの要件が必要となります。
1.国民年金に加入している間に初診日があること(初診日要件)
※20歳前や、60歳以上65歳未満(年金に加入していない期間)で、日本国内に住んでいる間に初診日があるときも含みます。
2.一定の障害の状態にあること(障害認定日要件)
3.保険料納付要件
初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていることが必要です。
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

障害認定時に次い該当していること
初めて医師の診療を受けたときから、 1年6ヵ月経過したとき(その間に治った場合は治ったとき)に障害の状態にあるか、または65歳に達するまでの間に障害の状態となったとき。
※ 例えば、初めて医師の診療を受けた日から1年6ヶ月以内に、次の1.~7.に該当する日があるときは、その日が「障害認定日」となります。
1.人工透析療法を行っている場合は、透析を初めて受けた日から起算して3カ月を経過した日
2.人工骨頭又は人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日
3.心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着した場合は、装着した日
4.人工肛門の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設又は手術を施した日から起算して6カ月を経過した日
5.新膀胱を造設した場合は、造設した日
6.切断又は離断による肢体の障害は、原則として切断又は離断した日(障害手当金又は旧法の場合は、創面が治癒した日)
7.喉頭全摘出の場合は、全摘出した日
8.在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日

年金額
(平成28年4月分から)
【1級】 780,100円×1.25+子の加算
【2級】 780,100円+子の加算
子の加算
•第1子・第2子 各 224,500円
•第3子以降 各 74,800円
子とは次の者に限る
•18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
•20歳未満で障害等級1級または2級の障害者

年金支給額3年ぶり引き下げ

厚生労働省は27日、2017年度の公的年金の支給額を16年度から0.1%引き下げると発表しました。
年金支給額は、物価や賃金の変動に応じて毎年度決まりますが、消費者物価がマイナスに転じたことを受け、4月以降の年金額は、0.1%引き下げられることになりました。具体的には、基準となる賃金変動率はマイナス1.1%、物価変動率はマイナス0.1%で、賃金変動率が物価変動率を下回ったため、物価変動に合わせて支給額を改定することとなりました。引き下げは14年度以来、3年ぶり。
国民年金(基礎年金)は満額で月額6万4941円(16年度比67円減)、厚生年金は会社員だった夫と専業主婦のモデル世帯で月22万1277円(同227円減)となります。17年4月分(支給は6月)から引き下げられます。
また、現役世代が支払う国民年金の保険料は、4月以降、2016年度より、230円引き上げられます。
【国民年金保険料】
国民年金の保険料は、平成16 年の制度改正により、毎年段階的に引き上げられてきましたが、平成29 年度に上限(平成16 年度価格水準で16,900 円)に達して、以後、その水準は固定されます。
また、実際の保険料額は、平成16 年度価格水準を維持するために、国民年金法第87 条第3項の規定により、名目賃金の変動に応じて毎年度改定され、以下のとおりとなります。
・ 平成29 年度の国民年金保険料額は16,490 円(月額)
(平成28 年度から230 円の引上げ)
・ 平成30 年度の国民年金保険料額は16,340 円(月額)
(平成29 年度から150 円の引下げ)