従業員が病気やけが、メンタルヘルスの不調などによって、長期間仕事を休まなければならないことがあります。
このような場合、会社の就業規則に基づき「休職制度」を利用することがあります。
休職制度は、従業員が安心して治療や回復に取り組み、再び職場に戻ることを支援するための大切な制度です。
しかし、休職期間中の過ごし方について、会社と従業員との間で認識が異なり、トラブルになるケースもあります。
今回は、**「休職期間中の療養専念」**について考えてみたいと思います。
1.休職期間は何のためにあるのでしょうか?
休職期間は、単に会社に出勤しなくてもよい期間ではありません。
病気やけがなどによって働くことが難しい従業員が、治療や休養を通じて健康状態の回復を図り、職場復帰を目指すための期間です。
そのため、休職中の従業員には、主治医の指示を守り、病状に応じて適切な療養生活を送ることが求められます。
例えば、次のようなことが大切になります。
主治医の指示に従って治療を継続する。
規則正しい生活を心掛ける。
十分な睡眠や休養を取る。
病状に応じた活動を行う。
職場復帰に向けて体調を整える。
休職制度の目的を会社と従業員が共有することが重要です。
2.休職中に旅行や外出をしてもよいのでしょうか?
会社から、次のような相談を受けることがあります。
「メンタルヘルスの不調で休職している従業員が、友人と旅行に行くと言っています。会社として認めてもよいのでしょうか?」
確かに、会社側からすれば、「仕事はできないのに旅行には行けるのか」と疑問に感じるかもしれません。
しかし、休職中の旅行や外出が、直ちに療養専念義務に違反するとは限りません。
特に、適応障害やうつ病などのメンタルヘルス不調の場合、症状や回復状況によっては、気分転換や適度な外出が療養に役立つこともあります。
一方で、長時間の移動や過度な活動が体調を悪化させる可能性もあります。
大切なのは、旅行や外出をしたという事実だけで判断するのではなく、病状や治療方針、主治医の指示などを踏まえて考えることです。
会社としては、本人を一方的に責めるのではなく、必要に応じて主治医への確認を促すなど、冷静な対応が求められます。
3.会社が注意したい3つのポイント
① 休職中の生活状況を適切に確認する
休職者との定期的な面談などを通じて、治療状況や生活リズム、職場復帰に向けた見通しを確認しましょう。
ただし、私生活への過度な干渉にならないよう注意が必要です。
② 主治医の意見を尊重する
療養に適した活動かどうかは、病状によって異なります。
会社の判断だけで外出や旅行を禁止するのではなく、必要に応じて本人の同意を得て、主治医の意見を確認することが大切です。
③ 就業規則の内容を確認する
休職期間中の療養専念、会社への状況報告、診断書の提出、復職手続きなどについて、就業規則に適切な定めがあるか確認しましょう。
ルールを明確にすることで、従業員との認識の違いを防ぐことにつながります。
4.休職中の行動だけで復職の可否を判断しない
休職中に旅行や買い物ができるからといって、必ずしも仕事ができる状態に回復しているとは限りません。
日常生活で短時間活動することと、決められた時間に出勤し、継続して業務を遂行することは異なります。
職場復帰に当たっては、主治医の診断や本人の回復状況、業務内容、産業医等の意見を踏まえ、会社が適切に判断する必要があります。
また、休職中の行動について疑問が生じた場合も、十分な事実確認を行わずに懲戒処分や退職扱いとすることは避けなければなりません。
5.休職者を支える職場づくりが大切です
休職中の従業員は、体調への不安だけでなく、「職場に迷惑をかけているのではないか」「復職できるだろうか」といった不安を抱えていることがあります。
そのようなときこそ、会社の対応が大切になります。
会社が休職者の状況を理解し、必要な支援を行うことは、安心して療養できる環境づくりにつながります。
もちろん、休職者本人にも、会社のルールを守り、治療に取り組み、必要な報告を行う姿勢が求められます。
会社と従業員が互いの立場を理解し、職場復帰という共通の目標に向かって協力することが重要です。
まとめ ~療養専念とは、回復に向けた適切な生活を送ること~
休職期間中の療養専念とは、必ずしも自宅で安静にし続けることではありません。
病状や主治医の指示に応じて、回復に必要な生活を送ることが大切です。
会社としても、休職者の行動を一面的に判断するのではなく、療養状況や回復の見通しを丁寧に確認していきたいものです。
椎名社会保険労務士事務所では、休職制度の整備、就業規則の見直し、休職者への対応、職場復帰に関する労務相談などを行っています。
休職者への対応でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
「褒める・認める・感謝する」
働く人を大切にする職場づくりを、これからも応援してまいります。
椎名社会保険労務士事務所