お酒は本来、個人の嗜好の一つです。仕事終わりの一杯がストレス解消になるという方も多いでしょう。しかし、翌日の勤務に支障をきたすレベルの飲酒は、すでに「私生活の自由」の範囲を超えて、職場への悪影響を及ぼします。
無断遅刻・欠勤
会議中の集中力の低下
顧客対応の品質低下
同僚への負担増加
これらは、職場の信頼関係やチーム全体の生産性を損ねる深刻な問題です。
「勤務不良」としての取り扱い
勤務態度が著しく悪化した場合、企業としては「服務規律違反」や「業務命令違反」として対応せざるを得ません。特に、以下のようなケースは注意が必要です。
常習的に遅刻や早退を繰り返す
酒気帯びのまま出勤する
飲酒によってミスやトラブルを招く
就業規則に「酒気帯び勤務の禁止」や「勤務に著しい支障が生じた場合の懲戒処分」が規定されていれば、警告や注意、場合によっては減給・出勤停止などの処分も検討対象となります。
会社としてできる対応策
① 明確なルールの整備
就業規則に以下の項目を明記しましょう。
出勤前・勤務中の飲酒禁止
二日酔いによる勤務不良への対応
懲戒の対象となる行為
また、定期的に社員に対してルールの周知を行いましょう。
② 社内研修での啓発
「自分は大丈夫」と思っている人ほど、深酒のリスクに無自覚です。労務リスクとしての「酒席マナー」や「二日酔いによる事故・ミスの事例」を研修で共有することも効果的です。
③ 管理職の目配り・声かけ
管理職の方には、部下の様子の変化を見逃さず、声をかける「日常的な関心」が求められます。「昨日、飲みすぎてない?」と軽く確認するだけでも、抑止力になることがあります。
信頼は日々の積み重ね
お酒の場は人間関係を深めるきっかけになる一方で、翌日の勤務に影響するような飲み方は、信頼を一瞬で失うリスクを孕んでいます。
社員一人ひとりが「翌日の仕事にベストを尽くす」という自覚を持ち、企業側もその姿勢をサポートするルールと風土を整えることが大切です。
まとめ
深酒による勤務不良は、服務規律違反として扱われる場合があります
就業規則での明記と周知、社内啓発、管理職の対応が重要です
飲酒トラブルが生じた場合は、再発防止と適切な処分を両立させる必要があります
椎名社会保険労務士事務所では、職場のルール整備や社員教育のサポート、個別の労務トラブルへの対応アドバイスも行っております。
「最近、遅刻や体調不良の相談が増えてきた」「就業規則を見直したい」など、お悩みがあればお気軽にご相談ください。