職場では、従業員のミスやルール違反、仕事への姿勢について注意しなければならない場面があります。
「最近はハラスメントが怖くて、部下を叱れない」
管理職研修などでも、このような声を聞くことがあります。
しかし、必要な指導までしなくなってしまえば、本人の成長につながらないだけでなく、職場全体の規律にも影響します。
大切なのは、「怒る」のではなく「叱る」ことです。
「怒る」と「叱る」は違います
「怒る」は、自分の感情を相手にぶつける行為になりがちです。
「何回言ったら分かるんだ!」
「だからあなたはダメなんだ!」
このような言葉は、問題となった行動ではなく、相手そのものを否定する表現になってしまいます。
一方、「叱る」目的は、相手に問題点を理解してもらい、次の行動を改善してもらうことです。
つまり、
怒る=自分の感情が中心
叱る=相手の成長と改善が中心
と考えると分かりやすいでしょう。
叱るときは「人」ではなく「行動」を見る
例えば、遅刻を繰り返している従業員に、
「あなたは社会人としての自覚がない」
と伝えるのではなく、
「今月は3回遅刻しています。始業時刻までに仕事を始められるよう、今後は改善してください」
と、具体的な事実と改善してほしい行動を伝えることが大切です。
人格を否定する必要はありません。
「何が問題だったのか」
「なぜ改善が必要なのか」
「これからどうしてほしいのか」
この3点を具体的に伝えるだけでも、指導の伝わり方は大きく変わります。
人前で叱らない
もう一つ気を付けたいのが、叱る場所です。
他の従業員がいる前で大声で注意すると、本人に必要以上の恥ずかしさを感じさせたり、周囲を萎縮させたりすることがあります。
重要な指導ほど、できるだけ個別に話す時間を設けましょう。
そして、一方的に話すのではなく、
「どうしてこうなったの?」
「何か事情があった?」
「次からどうすれば防げると思う?」
と本人の話を聴くことも重要です。
上司が把握していなかった事情が分かることもあります。
叱った後が大切です
叱って終わりではありません。
その後、本人が改善したら、
「良くなったね」
「改善してくれてありがとう」
と声を掛けてください。
人材育成では、問題を指摘するだけでなく、改善した行動をきちんと認めることが大切です。
私は研修でも、**「褒める・認める・感謝する」**ことの大切さをお話ししています。
叱ることと褒めることは、反対ではありません。
どちらも、従業員の成長を支えるためのコミュニケーションです。
「叱れる職場」は「話せる職場」
ハラスメントを恐れて何も言わない職場が、必ずしも良い職場とは限りません。
問題があればきちんと伝える。
本人の話もしっかり聴く。
改善したら認める。
この積み重ねが、上司と部下の信頼関係につながります。
「怒る」のではなく、「成長してほしい」という気持ちで叱る。
そして、叱った後には「できるようになったこと」を見つけて認める。
そんなコミュニケーションが、風通しの良い職場づくりにつながるのではないでしょうか。
椎名社会保険労務士事務所では、管理職研修やハラスメント防止研修、就業規則の整備などを通じて、企業のより良い職場づくりをお手伝いしています。
「褒める・認める・感謝する」職場づくりを、一緒に進めていきましょう。