遅刻した日の「時間外労働」はどう判断する?  椎名社会保険労務士事務所

―― 勤怠管理で迷いやすいポイントを整理します

 

「朝に遅刻した社員が、その分を夜に残って働いた。これは時間外労働になるのか?」

企業からよくいただくご相談の一つです。結論から言えば、原則として“なりません”。ただし、判断を誤ると未払い残業や労務トラブルにつながるため、考え方の整理が重要です。

 

■ 基本原則:所定労働時間が基準

 

時間外労働かどうかは、会社が定めた所定労働時間を超えたかで判断します。

たとえば、所定労働時間が9:00~18:00(休憩1時間)の会社で、9:30に出勤した場合、30分の遅刻が発生します。この日は18:30まで働いたとしても、実働8時間に満たなければ時間外労働には該当しません。

 

■ 例外に注意:業務命令がある場合

 

一方で、上司の明確な業務命令により、所定労働時間を超えて働いた場合は、遅刻の有無にかかわらず時間外労働となります。

「遅れた分は必ず残って取り戻すように」と指示している運用は、実質的に残業命令と評価される可能性があり、注意が必要です。

 

■ 実務でのポイント

 

**遅刻分の扱い(控除・年休振替等)**を就業規則で明確に

 

残業は事前申請・命令制を徹底し、黙認残業を防止

 

打刻=労働時間ではないことを管理職・従業員に周知

 

これらを徹底することで、判断のブレや不公平感を防げます。

 

■ まとめ

 

遅刻した日に「遅くまで働いた=残業」とは限りません。

所定労働時間を基準に、命令の有無を含めて判断することが、適正な労務管理の第一歩です。

 

勤怠管理や就業規則の運用でお悩みの際は、椎名社会保険労務士事務所までお気軽にご相談ください。実態に即したルール整備をお手伝いします。