従業員の勤怠管理は、給与計算だけでなく、適正な労働時間管理や職場の信頼関係を維持するうえでも非常に重要です。
ところが、「実際には遅刻しているのに定時出勤として申告する」「休憩時間を取っているのに働いていたことにする」「他の従業員に打刻を頼む」など、勤怠報告に不正が発生することがあります。
勤怠不正が発覚したら、まず事実確認を
不正と思われる行為が見つかった場合、最初から「不正をした」と決めつけて処分することは避けなければなりません。
タイムカードや勤怠システムの記録だけでなく、入退館記録、パソコンの使用記録、業務日報、本人や関係者への聞き取りなどを行い、客観的な事実を確認することが大切です。
本人への聞き取りについても、最初から責めるのではなく、申告内容と実際の勤務状況に相違が生じた理由を確認します。
「少しくらいだから」と放置しない
例えば、10分、15分程度の勤怠不正であっても、「金額が小さいから今回は注意だけで済ませよう」と安易に考えることには注意が必要です。
一度黙認すると、「この程度なら許される」という認識が職場に広がり、勤怠管理そのものが形骸化してしまう可能性があります。
一方で、初回の軽微な不正と、注意・指導後も繰り返される不正では、対応の程度を分けて考える必要があります。
懲戒処分は就業規則を確認する
勤怠報告の不正に対して懲戒処分を検討する場合には、就業規則の服務規律や懲戒規定を確認します。
「虚偽の申告をしてはならない」「会社の承認なく他人のタイムカードを打刻してはならない」などの規定が整備されているかも重要です。
処分については、不正の回数、期間、悪質性、会社に与えた影響、本人の反省状況、過去の処分事例などを総合的に考え、行為とのバランスを取る必要があります。
不正を防ぐ仕組みづくりも大切です
勤怠不正は、本人だけの問題として終わらせるのではなく、「なぜ不正ができてしまったのか」という管理体制の確認も必要です。
勤怠を本人任せにせず、上司が定期的に確認する、修正した場合には理由を記録する、代理打刻を禁止するなど、ルールを明確にしておきましょう。
特に重要なのは、実際の労働時間と勤怠記録が一致する仕組みをつくることです。
信頼される職場づくりのために
勤怠報告の不正は、単なる「時間の問題」ではありません。
真面目にルールを守って働いている従業員からすれば、不正をしている人が何の注意も受けない職場では、不公平感が生まれてしまいます。
だからこそ、会社としては事実を丁寧に確認し、必要な指導を行い、改善されない場合には就業規則に基づいた対応を進めることが大切です。
「小さな不正を見逃さないこと」と「感情的に処分しないこと」。
この二つを意識しながら、適正な勤怠管理を行っていきましょう。
椎名社会保険労務士事務所では、勤怠管理の見直し、就業規則の整備、問題社員への指導・懲戒処分など、労務管理に関するご相談をお受けしています。
今日も笑顔で挨拶をして、気持ちよく一日をスタートしましょう。