毎年この時期になると、企業の皆さまからお問い合わせが増えるのが「最低賃金」についてです。
千葉県の最低賃金は、令和8年10月1日から時間額1,195円となります。
現在の1,140円から55円の引上げです。
最低賃金の引上げは、パート・アルバイトの方だけの問題ではありません。
正社員を含め、会社全体の賃金体系を確認する必要があります。
「月給だから大丈夫」ではありません
最低賃金は、パート、アルバイト、臨時職員、嘱託職員など、雇用形態や名称にかかわらず原則としてすべての労働者に適用されます。
特に注意したいのが月給制の社員です。
月給制の場合も、最低賃金の対象となる賃金を時間額に換算して、最低賃金以上になっているか確認する必要があります。
「正社員だから最低賃金は関係ない」ということではありません。
手当を含めれば大丈夫?
ここもよくご相談を受けるところです。
最低賃金を確認するときには、すべての手当を含められるわけではありません。
例えば、
通勤手当
家族手当
精皆勤手当
賞与
時間外・休日・深夜の割増賃金
などは、最低賃金を計算する際の対象賃金から除外されます。
「基本給は低いけれど、手当を合わせれば1,195円を超えているから大丈夫」と考えている場合には、一度きちんと確認することが必要です。
最低賃金の引上げは「賃金の逆転」にも注意
もう一つ企業に確認していただきたいのが、既存社員との賃金バランスです。
最低賃金に合わせて新入社員やパート社員の時給だけを引き上げていくと、
「長く勤めている社員と新人の賃金がほとんど変わらない」
ということが起こる場合があります。
経験を積み、仕事を覚え、後輩を指導している社員と、入社したばかりの社員の賃金差が小さくなれば、既存社員のモチベーションにも影響します。
最低賃金への対応は、単に「最低ラインをクリアすれば終わり」ではありません。
賃金表全体を確認してみましょう
最低賃金が大きく上昇する時代だからこそ、
基本給、各種手当、昇給、評価制度などを含めた賃金制度全体を見直すこと
が大切だと考えています。
最低賃金ギリギリの社員だけを引き上げるのではなく、
「仕事を覚えたらどう上がるのか」
「責任が増えたらどう評価するのか」
「長く働いてくれている社員にどう報いるのか」
という視点も必要です。
最低賃金を「人材確保」の視点から考える
人手不足が続くなか、賃金は採用にも大きく関係します。
法律上の最低賃金をクリアしていても、それだけで人が集まるとは限りません。
求人を出しても応募がない場合には、地域の求人賃金や同業他社の水準なども確認しながら、採用時の賃金設定を考える必要があります。
そして、採用した社員が長く働きたいと思える職場をつくることも大切です。
賃金だけではなく、
「褒める・認める・感謝する」
ことのできる職場づくりも、人材定着には欠かせません。
10月1日になる前に確認を
千葉県では、令和8年10月1日から最低賃金が1,195円になります。
直前になって慌てるのではなく、今のうちに、
「当社の給与は最低賃金をクリアしているか」
「対象外の手当を含めて計算していないか」
「正社員の月給も問題ないか」
「既存社員との賃金バランスは適切か」
を確認しておきましょう。
最低賃金の引上げを、単なる人件費の増加として捉えるのではなく、会社の賃金制度や人事制度を見直すきっかけにしていただければと思います。
椎名社会保険労務士事務所では、最低賃金の確認だけでなく、賃金規程の見直し、賃金表の作成、人事評価制度、就業規則の整備などについてもご相談を承っています。
最低賃金改定を機会に、一度会社の「賃金の健康診断」をしてみてはいかがでしょうか。
椎名社会保険労務士事務所