年々猛暑が厳しさを増す中、熱中症は労働災害としても深刻なリスクとなっています。これを受け、2024年度から建設業や製造業などを中心に、熱中症対策の実施が義務化されました。企業にとっては、従業員の安全を守るための重要な取り組みが、法的にも求められるようになったのです。
■ 義務化された主な対策内容
厚生労働省が発表したガイドラインによれば、以下のような具体策が求められています。
WBGT値(暑さ指数)の測定と記録
暑さのレベルを客観的に把握し、基準を超えた場合には作業の中止や休憩の指示を出すこと。
水分・塩分補給の徹底
自由に水分が摂れる環境を整備し、定期的な補給の声かけも必要です。
適切な休憩の確保
作業強度や気温に応じて、こまめに休憩時間を設けること。
空調設備や送風機の設置
屋内外を問わず、冷却措置が重要です。
体調不良者への迅速な対応
熱中症の兆候が見られた場合の緊急対応マニュアルを整備しておくこと。
■ 罰則の可能性も
これらの対策を怠った結果、労働者が熱中症で倒れた場合には、労働安全衛生法に基づく行政指導や是正勧告、最悪の場合には罰則が科される可能性もあります。企業にとっては「任意」ではなく、明確に「義務」として認識する必要があります。
■ 就業規則や衛生管理体制の見直しを
椎名社会保険労務士事務所では、熱中症対策義務化に対応した就業規則の見直しや、衛生管理者の育成支援などを行っています。特に建設業や物流業など、屋外作業が多い業種では、熱中症のリスク管理が企業の信頼にも直結します。
■ 働く人の命を守るのは企業の責任
労働者が安心して働ける環境を整えることは、企業の社会的責任であると同時に、生産性の向上にもつながります。熱中症は予防できる災害です。この夏、貴社でも改めて対策の徹底を図りませんか?
熱中症対策や労働安全衛生に関するご相談は、椎名社会保険労務士事務所までお気軽にお問い合わせください。