もちろん、決められた仕事をきちんと行うことは大切です。しかし、会社を取り巻く環境は日々変化しています。人手不足への対応、業務の効率化、働き方の見直し、お客様のニーズの変化など、昨日までのやり方をそのまま続けているだけでは対応できないことも増えてきました。
そこで大切になるのが、現場で働く社員一人ひとりの「気づき」です。
「この作業は、もう少し簡単にできるのではないか」
「この手順を変えれば、ミスを減らせるのではないか」
「お客様への説明を少し工夫したほうが、もっと分かりやすいのではないか」
「この仕事は二人で行っているけれど、やり方を変えれば一人でもできるのではないか」
こうした小さな気づきの中に、会社を良くするヒントがたくさん隠れています。
実際に毎日の仕事をしている社員だからこそ分かることがあります。経営者や管理職には見えていない問題点や改善のアイデアを、現場の社員が持っていることも少なくありません。
ところが、社員がせっかく気づいても、
「言ってもどうせ変わらない」
「余計なことを言わないほうがいい」
「提案したら自分の仕事が増えてしまう」
「今までこの方法でやってきたのだから仕方がない」
と思ってしまう職場では、せっかくのアイデアが表に出てきません。
だからこそ、経営者や管理職の姿勢が重要になります。
社員から意見や提案があったとき、最初から「それは無理だ」「今までこのやり方でやってきた」と否定するのではなく、まずは話を聞く。そして、
「気づいてくれてありがとう」
「提案してくれてありがとう」
と伝えることです。
すべての提案を採用する必要はありません。会社として実現できない提案も当然あります。しかし、「提案したことそのもの」を認めることはできます。
自分の意見を聞いてもらえた、自分の提案を受け止めてもらえたという経験が、社員の次の行動につながります。
小さな気づきを大切にする。
小さな改善を積み重ねる。
そして、その行動を褒め、認め、感謝する。
この繰り返しによって、社員は少しずつ「自分も会社を良くする一員なのだ」という意識を持つようになります。
人材育成というと、研修を行ったり、知識や技術を教えたりすることを思い浮かべます。しかし、本当の意味で人を育てるためには、社員が自分で考え、行動し、その結果を振り返る機会をつくることも大切です。
上司がすべての答えを教えるのではなく、
「あなたはどう思う?」
「もっと良い方法はないかな?」
「次に同じことがあったらどうする?」
と問いかけることも、人材育成の一つです。
最初は小さな提案でも構いません。
「書類の置き場所を変えてみる」
「朝礼の進め方を少し変えてみる」
「チェック表を作ってミスを防ぐ」
そんな身近な改善を社員自身が考え、実行し、その成果を職場で共有する。その経験の積み重ねが、社員の成長につながります。
そして、社員が自ら考えるようになると、会社にも大きな変化が生まれます。
「言われたからやる」から、「自分たちで考えて良くする」へ。
指示を待つ社員が多い会社では、経営者や管理職が常に指示を出し続けなければなりません。しかし、一人ひとりが考えて行動できる会社では、現場から改善が生まれ、組織全体が前へ進んでいきます。
社員が考える会社は強い。
その第一歩は、決して難しい制度をつくることではありません。
社員の声に耳を傾けること。
小さな提案を歓迎すること。
良い行動を見つけたら褒めること。
努力や成長を認めること。
そして「ありがとう」と感謝を伝えること。
「褒める・認める・感謝する」職場づくりが、社員の主体性を引き出し、会社を成長させる土台になります。
今日、社員から何か提案があったら、まずは「提案してくれてありがとう」と伝えてみてはいかがでしょうか。
その一言から、社員が考え、提案し、行動する会社づくりが始まるのではないでしょうか。